2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳頭腫ウイルス型特異的細胞変性効果に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
14570813
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江川 清文 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50183215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 由美 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00284761)
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / HPV / HPV型特異的細胞変性効果 / 封入体疣贅 / inclusion wart / HPV E4 / 足底表皮様嚢腫 / CPE |
Research Abstract |
ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)感染による細胞の増殖や分化の異常が原因HPVの型特異的であることは「HPV型特異的細胞変性効果」と呼ばれ、そのメカニズム解明はHPV感染症の重要な研究課題となっている。また、皮膚型と粘膜型に分類されるように、HPVの感染様式もまたHPV型特異的であることが解かっている。このことは、そのメカニズムの詳細は不明であるが、HPVの標的細胞の種類とその解剖学的分布がHPV型ごとに異なることを示している。 現在までの「封入体疣贅」を主な対象とした研究において、HPV感染に伴う様々の新しい臨床・病理組織像を発見・記載すると共に、これらの原因となる新しいHPV型を発見して来たが、今回の研究においては更に新しい細胞質内封入体を発見すると共にHPV95と言う新HPV型のクローニングにも成功した(投稿準備中)。これは、「HPV型特異的細胞変性効果」の概念を追認するデータとなっており、現在、海外共同研究者のde Villiers博士によって、分子生物学的性格付けが行われているところである。 また、HPV型特異的感染部位親和性について検討した結果、手掌足底においてはHPVが、この部の表皮幹細胞の存在部位と考えられている深表皮突起最深部の細胞を標的とすることや、それらがエックリン汗腺関連細胞である可能性を初めて明らかにした。有毛部皮膚では、HPVがこの部の表皮幹細胞の存在部位と考えられている毛隆起部細胞を標的とする可能性が明らかになりつつある。これらの結果を併せて、HPVが普遍的に表皮幹細胞を標的とすること、およびHPV型特異的感染部位親和性のメカニズムとして解剖学的部位により表皮幹細胞の性状が異なる可能性があり、HPVは型特異的にこれらを認識し標的としている仮説を始めて提唱した(Dermatology,2003).
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Egawa K.: "Topical Vitamin D_3 derivatives for recalcitrant warts in three Immunocompromised patients"British Journal of Dermatology. 150. 374-376 (2004)
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[Publications] 江川清文: "色素性疣贅-黒いぼを追って(II)-"皮膚病診療. 26. 286-292 (2004)
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[Publications] Egawa K.: "Do human papillomaviruses target epidermal stem cells?"Dermatology. 207. 251-254 (2003)
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[Publications] Kashima M.: "Detection of human papillomavirus type 57 in the tissue of a plantar epidermoid cyst"Dermatology. 207. 185-187 (2003)
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[Publications] 江川清文: "尋常性疣贅、伝染性軟属腫"小児科診療. 66. 165-170 (2003)
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[Publications] 江川清文: "ヒトパピローマウイルス感染症"MB Derma. 70. 27-35 (2003)
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[Publications] 江川清文: "最新皮膚科学大系15.ウイルス性疾患/性感染症"尋常性疣贅. 275 (2003)