2002 Fiscal Year Annual Research Report
長波長紫外線(UVA1)の光生物学的作用の解析およびその臨床への応用
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14570818
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森田 明理 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30264732)
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Keywords | 紫外線 / 紫外線治療 / 皮膚疾患 / 皮膚T細胞リンパ腫 / アポトーシス / FAS / アトピー性皮膚炎 / 長波長紫外線 |
Research Abstract |
UVA1療法で皮膚の真皮に浸潤する活性化T細胞、すなわち病因となる細胞がアポトーシスを起こして除かれ病変が良くなることを明らかにした。悪性T細胞は正常T細胞に比べ、明らかにUVA1に対して感受性が高くアポトーシスを起こしやすいことを明らかにした。これはUVA1照射によって選択的に悪性T細胞にアポトーシスを起こすことを示唆し、皮膚T細胞性リンパ腫に対する効果の機序と考えられる。紫外線の細胞応答として研究されているのはUVAより短い波長である中波長紫外線(UVB, 290-320nm)や短波長紫外線(UVC)であり、依然としてUVAのアポトーシス誘導以外の光生物学的作用は明らかではない点が多い。UVAの研究の進まなかった理由は、高照射率の得られる光源がなかったため、生物学的に意味のある量を照射するのに、数時間を要するなど照射に問題があったためと考えられる。また、従来の光源である蛍光管では、治療効果はほとんどなく、UVA自体に大きな生物学的作用がないと従来は考えられていた。そこで、UVAの生物学的作用をアポトーシス以外に広げ、特にUVAの細胞応答を幅広く解析を行った。また、波長によって細胞応答に違いがあることが予想されるため、同時にUVBを解析し、UVAでの差異を見いだすことを方法とした。UVA誘導のアポトーシスでは、2時間までの"immediate apotosis"を起こすが、UVB誘導のアポトーシスではタンパク合成が必要な6時間以降の"delayed apoptosis"であり、すでにアポトーシスに関してはその差異を明らかとしたが、さらに、細胞周期に関した予備実験では、UVAではG2 arrestを起こすこと、UVBではG1 arrestを起こすことなどが明らかとなった。さらに、UVA・UVBで起こる変化を細胞周期・ストレス・アポトーシスなどの抗体アレイを用い、スクリーニング的に解析を進め、その後ある程度の焦点を置き、細胞内シグナル伝達、細胞周期に関する分子に関して詳しい解析を行っている。これらの結果から、UVAの詳細な細胞応答を明らかにすることができるだろう。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Lei Yin: "Molecular alterations of tropoelastin and proteoglycan induced by ultraviolet A and tobacco smoke extracts in cultured skin fibroblasts"Nagoya Medical Journal. 45. 63-74 (2002)
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[Publications] Lei Yin: "Tobacco smoke extract induces age-related changes due to the modulation of TGF-β"Experimental Dermatology. (印刷中). (2003)
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[Publications] Lei Yin: "The crucial role of TGF-beta in the age-related alterations induced by ultraviolet A irradation"The Journal of Investigative Dermatology. (印刷中). (2003)
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[Publications] Lei Yin: "Expression of MMP-1 induced by ultraviolet A1 (340+400nm) phototherapy relevant to glutathione (GSH) content in skin fibrobalsts of systemic sclrerosis"J Dermatol. (印刷中). (2003)
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[Publications] Shinji Kitajima: "Fibrous tissue formation of intracutaneous injection of TGF-b1 and L-ascorbic ascid treated-skin fibroblasts"Nagoya Medical Journal. (印刷中). (2003)
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[Publications] Hiroo Sawada: "Altered decorin expression of systemic sclerosis by UVA1 (340400nm) phototherapy : Immunohistochemical analysis of 3 cases"BMC Dermatol. (印刷中).
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[Publications] Jean Krutmann: "Fitzpatrick's Dermatology in general medicine"McGraw-Hill(印刷中). (2003)