2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570824
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山崎 正視 順天堂大学, 医学部, 講師 (00306929)
|
Keywords | カルパイン / アポトーシス / Bcl-2 / EGF / Ras / MEK |
Research Abstract |
背景)カルパインはカルシウムにより活性化されるシステインプロテアーゼであり、プロフィラグリンのプロセシングなどケラチノサイトの分化に関与している。皮膚に発現している主なアイソザイムにはμ-カルパインとm-カルパインがある。一方、EGFからRasへのシグナルトランスダクションは、Raf, PI3K及びRalGDSを介して細胞の細胞の増殖、分化、アポトーシスに関与している。その中でもRaf-MEK-ERK pathwayは最も研究が進み、種々の転写因子を誘導することが判っている。 方法)HaCaTケラチノサイトをMEKインヒビターのPD98059、ERK2インヒビターの5-iodotubercidin、PI3KインヒビターのLY294002あるいはカルパインインヒビターIで全処理し、EGFと共に培養した。そしてカルパインの主な基質の1つであるアルファー・スペクトリンやアポトーシス関連分子であるBcl-2のプロセシングをイムノブロットにて検討した。 結果)EGF単独ではアルファー・スペクトリンのプロセシングが認められたが、MEKインヒビター及びカルパインインヒビターの添加により、これが抑制された。ERK2インヒビター及びPI3Kインヒビターにはこのような抑制は認められなかった。この際m-カルパインは活性化していたが、μ-カルパインの活性化は認められなかった。さらにEGFの添加により、Bcl-2が分解され、これはカルパインインヒビターで抑制された。 考案)以上より、HaCaTケラチノサイトにおいて、MEKがm-カルパインを活性化し、これによりBcl-2が分解され、アポトーシスが誘導されることが示唆された。 (この実験結果は2003年4月30日から5月4日にマイアミで行われる国際研究皮膚科学会にて発表予定である。)
|