2002 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンの尋常性乾癬の病態に対する作用及びその治療におけるの有用性
Project/Area Number |
14570825
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
神田 奈緒子 帝京大学, 医学部, 助教授 (50260493)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 譽光 帝京大学, 医学部, 講師 (80233211)
渡辺 晋一 帝京大学, 医学部, 教授 (90114719)
|
Keywords | 尋常性乾癬 / 17β-エストラジオール / IP-10 / ケモカイン / cAMP / 表皮角化細胞 / IFN-γ / STAT1α |
Research Abstract |
尋常性乾癬患者の表皮角化細胞では、T helper 1細胞の浸潤を促すIP-10,マクロファージの浸潤を促すMCP-1などのケモカインの産生が亢進しており、これらが皮膚の炎症を惹起する。女性では妊娠中、尋常性乾癬が軽快することが知られており、女性ホルモンが尋常性乾癬の発症、進行を抑制する可能性が示唆される。本研究では、ヒト表皮角化細胞のIP-10産生に対する17β-エストラジオールの作用を検討した。17β-エストラジオールは表皮角化細胞において、IFN-_γ刺激によるIP-10蛋白の放出、mRNA発現、IP-10プロモーター活性の誘導を抑制した。IP-10プロモーター上のinterferon-stimulated response element(ISRE)が17β-エストラジオールによるIP-10転写の抑制に関与しており、17β-エストラジオールはIFN-_γ刺激によるJak1/2,STAT1_αのチロシンリン酸化を抑制することにより、STAT1_αのISREへの結合と転写活性を抑制した。cAMP合成酵素アデニレートサイクレースの阻害剤は、17β-エストラジオールによるIP-10産生の抑制、Jak1/2,STAT1_αのチロシンリン酸化の抑制、STAT1_αのDNA結合、転写活性の抑制を解除し、cAMPアナログは17β-エストラジオールと同様の抑制作用を示した。17β-エストラジオールは表皮角化細胞のアデニレートサイクレース活性を増強し、cAMPシグナルを誘導した。細胞膜非透過性のbovine serum albumin結合型エストロゲンは表皮角化細胞表面に結合し、17β-エストラジオールと同様に、cAMPシグナルを誘導し、IFN-_γ刺激によるIP-10産生を抑制した。したがって17β-エストラジオールは表皮角化細胞の膜に結合し、cAMPシグナルの誘導を介して、IFN-_γによるJak-STATシグナル伝達系を抑制し、IP-10産生を抑制すると考えられる。以上の結果から、17β-エストラジオールが表皮角化細胞のIP-10産生を抑制し、T helper 1細胞による皮膚の炎症を抑制することが予想され、乾癬の治療において、17β-エストラジオールが有効であることが示唆される。今後は表皮角化細胞の、他のケモカイン産生に対する17β-エストラジオールの作用について検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Kanda, N, Watanabe, S: "17β-estradiol inhibits the production of interferon -induced protein of 10kDa by human keratinocytes"Journal of Investigative Dermatology. (印刷中).