2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス神経冠培養系を用いたメラノサイト分化増殖過程におけるTGFβの役割
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14570828
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 民裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20297659)
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Keywords | TGF β / 神経冠細胞(neural crest cells) / メラノサイト / BMP / 悪性黒色腫 / TGFβスーパーファミリー / SCF / KIT伝達系 / マウス神経冠培養系 |
Research Abstract |
我々はこれまで神経冠細胞(neural crest cells,以下NCC)培養系を使し、メラノサイト前駆細胞の増殖分化に関わる因子を検討し、報告してきた。TGFβ(Transforming Growth Factor β)スーパーファミリーは、TGFβやBMP(Bone Morphogenetic Protein)などが含まれ、生体の発生や形態形成に重要な役割をする。一方、SCFはチロシンカイネースレセプターであるKITを介して作用する。このSCF/KIT伝達系の働きは、皮膚メラノサイト発生や分化増殖過程に必要不可欠であり、それが阻害されるとin vitroでは細胞死を起こしてしまう。また、NCC培養系や幼若メラノサイトであるNCCmelb4細胞で、特にTGFβ1が、メラノサイトの増殖分化過程に大きく関与することを証明した。このNCCmelb4細胞株から、KIT陰性のcell line, NCCmelb4M5細胞株を当教室で樹立した。NCCmelb4はKIT,チロシナーゼ関連蛋白陽性であるが、チロシナーゼ、ETRB、DOPA反応は陰性を呈する。この細胞を継代維持する培養液にはSCFが添加されているが、SCF無添加で継代したところ一代目は半数が死滅し、残った細胞も増殖速度が低下した。しかし代を追うごとに増殖速度が回復し、SCF無添加で継代維持可能となった。形態は大きく変化し、NCCmelb4は紡錘形と多角形が混在するが、NCCmelb4M5は殆ど多角形を示した。NCCmelb4がKIT陽性なのに比しNCCmelb4M5は陰性を呈し、TRP-1、TRP-2陽性で、チロシナーゼ、ETRB、DOPA反応は陰性であった。以上より、NCCmelb4M5は、NCCmelb4よりさらに幼若なメラノブラストと推測される。すなわち、NCCmelb4M5株は最も幼弱なメラノサイトであり、移動することのない神経上皮細胞から活発に移動するNCC細胞(後のメラノサイト)への最初の段階といえる。Alamar Blue法を用いた細胞増殖能の検索にてNCCmelb4M5株はBMP4の添加で増殖が有意に抑制され、BMPのアンタゴニストであるNogginの大量添加で、この抑制は完全に回復した。すなわち、BMP4が、NCCmelb4M5株に大きな影響を及ぼすサイトカインであると思われる。TGFβやBMPをはじめとする、TGFβスーパーファミリーがこのようにメラノサイト分化に様々に関わっており、このメカニズムの解明は将来、悪性黒色腫治療へ応用できるかもしれず、今後の進展が期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Soma Y, Kawakami T, Yamasaki E, Sasaki R, Mizoguchi M.: "Linear scleroderma along blaschko's lines in a patient with systematized morphea."Acta Derm Venereol.. 83(5). 362-364 (2003)
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[Publications] Imaizumi A, Kawakami T, Murakami F, Soma Y, Mizoguchi M.: "Effective treatment of prurititus in AD using H1 antihistamines : changes in blood histamine and tryptase levels."J Dermatol Sci.. 33(1). 23-29 (2003)
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[Publications] 川上民裕, 溝口昌子: "【小児の皮膚疾患】紫斑と紅斑"小児科診療,診断と治療社 66巻Suppl.. 250 (2003)