2003 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線及び化学発癌物質によるDNA損傷と免疫抑制 サイトカイン産生に関する研究
Project/Area Number |
14570830
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
堀尾 武 関西医科大学, 医学部, 教授 (90026914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 祐之 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10142291)
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Keywords | 紫外線 / 発癌 / DNA損傷 / 腫瘍免疫 / 色素性乾皮症 |
Research Abstract |
皮膚癌の発症には紫外線の関与が大きい。我々は、DNA損傷の修復能を欠損するXPA(-/-)マウスが、UVB照射あるいは化学発癌物質dimethy1 benzanthrane(DMBA)塗布により容易に発癌することを確認した。DNA損傷は、癌抑制遺伝子の不活化、癌遺伝子の活性化を誘導して発癌に至ると考えられでいる。一方、悪性腫瘍の発生と増殖には、生体の免疫学的な腫瘍排除機構(腫瘍免疫)の関与も重要である。XPA(-/-)マウスは、wild typeマウスと比較して、UVBやDMBAにより接触アレルギー感作や腫瘍免疫などの細胞性免疫が著しく抑制されることを見出した。すなわち、いずれのマウスも、同系マウスに生じた紫外線癌を移植されても拒絶反応により排除する。しかし、あらかじめ移植部位にUVB照射しておくと、XPA(-/-)マウスでは拒絶反応が著しく阻害されて癌細胞が生着して増殖した。次に、この免疫抑制に関わるサイトカイン等を検討した。Indomethacin前投与により、UVBあるいはDMBAによる免疫抑制が解除された。XPA(-/-)マウスでは、これらの発癌刺激によって、cyclooxygenase-2やIL-10のmRNAの発現が増強し、prostaglandin E_2やIL-10、TNF-αなどの免疫抑制因子の産生が亢進することが判明した。以上の実験結果から、紫外線や化学物質による発癌には、DNA損傷により誘導される遺伝子変異に加えて、免疫抑制因子の産生による腫瘍免疫の阻害が関与すると考えられる。
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