2003 Fiscal Year Annual Research Report
種々の病態における心筋の脂肪酸代謝障害と糖代謝異常の検討-I-123
Project/Area Number |
14570850
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹田 寛 三重大学, 医学部, 教授 (70106988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 肇 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (60205797)
松村 要 三重大学, 医学部, 助教授 (70126994)
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Keywords | 心筋脂肪酸代謝 / I-123 BMIPP / Rutland解析 / taxane |
Research Abstract |
我々は、昨年度、悪性腫瘍に広く用いられている抗がん剤doxorubicinにより心筋脂肪酸代謝の障害が引き起こされることをiodine-123 beta-methyl-iodophenyl-pentadecanoic acid (^<123>I-BMIPP)によるdynamic SPECTデータをRutland解析することにより検討した。一方、最近新しい抗癌剤として乳癌や肺癌などの治療に良く用いられているtaxaneは、稀に心筋障害を惹起することがあると報告されている。そこで、taxaneによっても同様の心筋脂肪酸代謝の障害が惹起されないか、^<123>I-BMIPPによるdynamic SPECTと通常のSPECT画像を用いて検討し、両者における検出能についても比較した。対象は小細胞癌以外の肺癌患者20人であり、いずれもtaxane(60mg/m^2)とcarboplatin(300mg/m^2)による化学療法が行われた。全例に対し今回の検査の趣旨を説明しinformed consentを得た。方法は、^<123>I-BMIPP(111MBq)投与後三検出器回転型SPECT装置を用いて30秒ごとのdynamic SPECTデータを収集し、その後SPECT画像を得た。その前後2、3日以内のうちに、^<99m>Tc-MIBIを用いて心プールシンチグラムを行い、左室駆出分画(LVEF)を調べた。^<123>I-BMIPPによるSPECTと^<99m>Tc-MIBIによる心プールシンチグラムを化学療法開始前と終了直後に施行し、得られた結果を比較した。^<123>I-BMIPPによるSPECT画像では、20例中11例(55%)に術前に比べ術後に集積低下をみた。一方、^<123>I-BMIPPによるdynamic SPECTをRutland法により解析した結果では、BMIPPの心筋への集積率を示すK値で比較すると、19例(95%)においてK値の低下を認め、平均K値は術前に比べ術後に有意に低下した(0.097±0.014vs.0.068±0.017,p<0.0002,Wilcoxon signed-ranks testによる)。一方、LVEFは術前後に有意差を認めなかった。 以上、^<123>I-BMIPP心筋SPECT検査により、taxaneによってもdoxorubicin同様の心筋脂肪酸代謝障害が誘発されることが示され、特にdynamieSPECTデータのRutland解析が有用であることが明らかとなった。これらの脂肪酸代謝障害は心機能の低下する前に出現することが判明し、taxaneによる心機能障害を未然に防止する上で役立つものと考えられた。
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