2002 Fiscal Year Annual Research Report
放射化微小球体を用いた肝腫瘍の血管内放射線治療の基礎的研究
Project/Area Number |
14570856
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光森 通英 京都大学, 医学研究科, 講師 (10263089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 靖 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10228033)
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Keywords | microsphere / Yttrium-90 / intra-arterial radiation therapy / histological distribution / liver tumor |
Research Abstract |
放射性微小球を用いた肝臓腫瘍に対する内照射療法は海外では既に臨床応用されているが、その治療効果や組織内での微小球の動態等の評価は充分とは言えない。京都大学医学部では京都大学工学部との共同研究により高い化学耐久性と真球性を有する純粋なY_2O_3微小球の開発を進めており、家兎肝腫瘍モデルを用いて前臨床研究を行った。 平成14年度の成果としては Y_2O_3の放射化方法の確立 日本原子力研究所との共同研究により、Y_2O_3の放射化に要する熱中性子の照射法の検討を行い、計画通りの放射能を有する微小球が得られ、得られた微小球が^<90>Yの半減期に合致する減衰を示すことも確認した。 無被爆注入システムの開発 放射化Y_2O_3微小球から生じるβ線を遮蔽し、術者の被曝やシステム外への放射能漏出などの問題が無く安全に放射性微小球の注入が行えるように、アクリルを用いたオリジナルの注入システムを製作・性能評価した。 放射性微小球の注入による抗腫瘍効果の確認 まず対照データとして無治療の家兎移植肝腫瘍や非放射化微小球を注入した家兎移植肝腫瘍の増殖を観察した。後者では、濃硝酸を用いた家兎組織の溶解実験を行い胃および十二指腸などの近接臓器にのみわずかなYの逸脱を認めるが、肺などの遠隔臓器および血液への逸脱は認めないことを確認した。 現在までに8羽の家兎肝腫瘍モデルに対して放射化したY_2O_3微小球の注入実験を行い、うち3羽が評価可能であったが、上記の対照群の移植肝腫瘍の増殖に比べ、放射化微小球を注入した家兎では、有意な腫瘍増殖抑制効果を示した。 平成15年度は(1)放射化微小球の腫瘍増殖抑制効果評価の追加実験(2)注入肝(腫瘍及び正常肝)のβ線による組織学的変化の評価(3)肝に対する実効線量の測定を行う予定である。
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