2003 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的なエストロゲン受容体および糖代謝測定による新しい乳癌診断法の開発
Project/Area Number |
14570867
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 雅之 九州大学, 医学部, 教授 (40240907)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 和孝 九州大学, 大学病院, 助手 (00325458)
古賀 博文 九州大学, 大学病院, 助手 (90343318)
桑原 康雄 九州大学, 大学病院, 助教授 (30150436)
|
Keywords | F-18 エストラジオール / F-18 FDG / ポジトロンCT / コインシデンスカメラ / エストロゲン受容体 / 糖代謝 |
Research Abstract |
1.今年度は、陽電子放出核種と単光子放出核種の両方の測定が行えるコインシデンス回路搭載シンチレーションカメラ(以下、コインシデンスカメラと省略)の臨床利用における有用性の確認のために、実際の患者の腫瘍糖代謝を2-deoxy-2-[^<18>F]-fluoro-D-glucose(以下、F-18 FDG)を用いてコインシデンスカメラによって評価し、ポジトロンCT専用装置による検出能と比較検討した。 2.乳癌患者2名を含む74名の悪性腫瘍患者より文書による同意を得たのち、F-18 FDGを185MBq投与した。テータ収集は、投与1時間後にポジトロンCT専用装置にて、投与2時間後にコインシデンスカメラにて行った。 3.患者の全身を16領域(浅部:5領域、深部:11領域)に区分し、病巣のサイズは2cm以上、1〜2cm、1cm未満の3段階に、また病巣の糖代謝は(++)、(+)、(-)の3段階に分類した。 4.ポジトロンCT専用装置では、全627領域中109領域で病巣の糖代謝の亢進を検出したが、コインシデンスカメラでは91領域しか検出できなかった。また、偽陽性が1領域見られた。この結果、コインシデンスカメラの病巣検出能は感度:83.5%、特異度:99.8%、正診率:97.0%であった。 5.サイズ別のコインシデンスカメラの病巣検出能は、2cm以上では97.9%、1〜2cmでは93.1%であったのに対して、1cm未満では54.5%と不良であった。 6.コインシデンスカメラによる深部領域の病巣の検出能は、浅部領域に比較して大きい病巣でも不良であった。 7.病巣の糖代謝の程度とコインシデンスカメラの検出能のには関連はなかった。 6.以上の結果より、コインシデンスカメラは臨床使用において、1cm未満の小病巣の検出が困難な場合があり、特に深部領域の病巣の評価に問題があることが明らかとなった。
|