2002 Fiscal Year Annual Research Report
仮想食道造影、仮想内視鏡像と組織特性を用いた高精細CTによる食道癌診断法の確立
Project/Area Number |
14570870
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宇都宮 尚 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (00325854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸板 孝文 琉球大学, 医学部, 助教授 (30237036)
村山 貞之 琉球大学, 医学部, 教授 (60239548)
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Keywords | 食道癌 / CT / 仮想食道造影 / 仮想内視鏡 / 放射線治療 / 食道伸展 / 増殖活性 / 持続性空気注 |
Research Abstract |
症例:38例の治療前症例(進行癌32例、表在型6例)においてわれわれが考案した食道内持続空気注入法を施行。方法:当初予定していたtubeよりもスタイレット付き5Fr.feeding tubeの方が侵襲性が低く挿入も容易と判断し現在こちらを主に使用している。3D画像では、仮想食道造影、仮想内視鏡とともにMPR(multiplanar reformation)像も作成している。結果:食道の伸展性は、口側で97%、肛側76%で良好な伸展が得られている。肛側の伸展不良例はいずれもUt-portionに病変があるものであり、病変による食道狭窄のために、空気が口側へ逆流するため肛側の伸展が不良になるものと考えている。腫瘍の同定は、進行癌ではいずれの3D画像においても全例で同定が可能であった。しかし表在型は0-I型の1例のみ同定され、0-IIc症例は5例いずれも同定不可であった。病変の上下方向への伸展範囲をMPR像とバリウムを用いた食道造影と比較したところ、12.5%の症例でMPRにおいて10mm以上も腫瘍長径が長く測定された。これは、病変が壁外で広範囲にひろがることがあるためで、特に放射線治療を行う上で照射範囲を決定する際、注意すべき結果と考えられた。本法は、空気で伸展することでバリウム造影と同様の腔内での食道癌の伸展範囲が評価でき、かつ壁外での伸展範囲も同時に評価可能であり、病変範囲の評価には非常に有用な検査法と考えている。また、腫瘍の微細構造に関しても、潰瘍形成の有無に関してはバリウム造影と同等の検出率を示した。ただし、腫瘍が全周性かどうかの判定および狭窄の程度(口側径と腫瘍内部の内腔径の比)の検討では、バリウム造影と比較して仮想内視鏡や仮想食道造影では高率に全周性、完全閉塞にみえやすい特徴がみられた。今後は組織像と3D画像像の対比、腫瘍の病理組織学的特徴(増殖活性)の判定、さらに放射線治療後の変化を検討する予定である。
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