2002 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌の放射線感受性予測法の開発に関する基礎的・臨症的研究
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14570878
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
笹井 啓資 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20225858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤松 将之 順天堂大学, 医学部, 助手 (10276470)
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Keywords | 食道癌 / 放射線治療 / 免疫組織染色 / c-erbB-2 / P53 |
Research Abstract |
本研究は食道癌術前照射症例および放射線単独照射症例を対象とし、放射線照射前および照射後の生検標本を用い、内因性放射線感受性、細胞周期、微小環境に関与する各種遺伝子産物の放射線照射前の発現の程度、治療前後による発現の変化を求める。さらに、放射線照射によりアポトーシスに関しても求める。次にこれらの各種遺伝子産物の発現に関する所見と、治療前の種々の予後因子および放射線治療による一次効果、予後との関連を求め、放射線治療が有効な食道癌症例の選択と、効果が期待できない症例での有効な治療方法の開発を目的とする。 前向きおよび後向き研究を計画しているが、初年度は前向き研究の予備研究として後向き研究を行った。 対象は1998年から、順天堂医院にて根治的放射線治療および術前放射線照射を施行し、無染ブロックが入手可能で、研究に先立ち、患者本人あるいは代理にたいして無染ブロックの研究目的の使用の許可を文書で得られた34症例である。 34症例の放射線治療前に得られた標本についてアポトーシスの頻度をTUNEL法で求め、さらに免疫組織染色を用いてp53,細胞増殖の指標であるMIB-1,チロシンキナーゼ活性を有するEGFRファミリーのc-erbB-2(HER-2/neu),DNA修復酵素であるKu(p70/p80)およびDNA-PKcsについて発現の頻度を検討した。放射線感受性の評価は2Gy20回照射した時点での画像および内視鏡の結果で行った。MIB-1,p53,Ku(p70/p80),DNA-PKおよびアポトーシスと放射線治療に対する一次効果とは有意な関係を認めなかった。しかし、c-erbB-2が強発現している症例では有意に放射線に対する反応が不良であった(P=0.02)。c-erbB-2の発現により細胞生存シグナルが活性化される可能性が考えられた。以上より次年度の研究ではc-erbB-2の発現を中心に研究を進めることとした。 新潟大学においては、化学放射線療法のみで治療した症例に関して、同様の研究の準備すすめた。
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