2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学放射線療法が食道癌微小転移に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
14570886
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山道 啓吾 関西医科大学, 医学部, 講師 (70291804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 健太郎 関西医科大学, 医学部, 助手 (90368209)
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / 微小癌転移 |
Research Abstract |
近年,高度進行食道癌に対して化学放射線療法(CRT)を加えた集学的治療がなされるようになり,予後の改善が期待されている。化学放射線療法はそのすぐれた局所効果によりdownstagingをもたらし,切除不能と考えられた症例が切除可能となることも少なくなく,切除例の中には長期生存が得られる症例も認められる。しかし,一方では術後短期間に遠隔転移をきたし,死亡することもある。このような短期間に再発する症例は,治癒切除を施行し得たと考えられても,実際は手術時にすでにリンパ節や遠隔臓器に微小転移が存在していた可能性がある。そこでわれわれは,高度進行食道癌における微小転移の存在を分子生物学的手法で検索し,化学放射線療法が微小転移に及ぼす影響について検討した。 平成16年度は,関西医大附属病院外科に入院となり,化学放射線療法の対象となった食道癌患者の内,8例でCRT前後,手術前後の末梢血の採取,および手術時の標本の採取を行なった。現在まで採取した33例において保存した末梢血からtotal RNAを抽出し,CEA mRNAの検出を行ったところ,CRT前の血液では33例中19例で陽性を示したが,CRT後は5例を除き,陰性化した。この結果はCRTの治療効果とは必ずしも一致しなかったが,CRT後も陽性であった5例中2例は術後早期に血行性転移をきたした。他の3例は経過観察中であるが,現在のところ再発の徴候はない。これらの結果からCRTは癌の局所制御以外に微小転移も抑制することが確認できた。また,CEA mRNAの検出は少なくともCRT後の癌遺残の評価にも有用である可能性も示唆された。手術前後の血中CEA mRNAの検出を検討したが術前陰性化していたCEA mRNA術後早期に検出される症例が認められ,その後再び陰性化していることから手術操作による影響と考えられた。
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