2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線生物学に基づく強度変調放射線治療(IMRT)の開発
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14570887
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西村 恭昌 近畿大学, 医学部, 教授 (00218207)
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Keywords | 高精度照射法 / 強度変調放射線療法 / 放射線生物学 / 唾液腺障害 / 頭頸部腫瘍 / 悪性神経膠腫 |
Research Abstract |
本研究は強度変調放射線療法(IMRT)を、放射線生物学の観点から理想的に行うことを目的とする。照射中の患者の固定具内での臓器移動(intrafraction organ motion)については昨年度報告したが、本年度は毎回の治療ごとのinterfraction organ motionおよびセットアップエラーについて検討した。その結果、頭頚部IMRTにおけるセットアップエラー(2SD値)は、頚椎で3mm以内、それ以外の部位で2mm以内であった。以上の結果から、我々の施設での臨床標的体積(CTV)に対する計画標的体積(PTV)のマージンは3-4mmでよいことが明らかになった。この成果は第16回日本放射線腫瘍学会で発表した。 悪性神経膠腫を対象に肉眼的腫瘍体積(GTV)とCTVで照射線量を変えることにより、照射期間の短縮と晩期障害の軽減が同時に達成可能なSimultaneous integrated boost(SIB)法のパイロット研究の成果を第12回国際放射線研究学会およびJJCO誌に発表した。GTVには1回2.5Gy、CTVには1回2.0GyのSIB法で合計70Gyの照射が悪性神経膠腫に対して安全に行えた。しかしながら、この線量分割法での局所制御は不良で、さらなる1回線量増加第I相臨床臨床試験プロトコールを作成し、現在症例登録中である。 IMRTで全頸部照射で治療した頭頚部腫瘍19例に対しては、その耳下腺体積、耳下腺線量別に照射後の唾液腺障害を検討した。その結果、健側耳下腺の平均線量を30Gy以下にできた。また耳下腺平均線量が20Gy未満の症例では、唾液腺障害はごく軽度であった。また、唾液腺障害は耳下腺体積に依存することも明らかにされ、両側あわせて70cc以上の耳下腺を有する症例の唾液腺障害は軽度であった。一方、PTVの辺縁からの再発も数例見られ、PTV設定の難しさが明らかになった。この成果は、第3回日米癌治療セミナーで発表した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suzuki M, Nishimura1 Y 他5名: "Feasibility study of the simultaneous integrated boost(SIB)method for malignant gliomas using intensity modulated radiotherapy(IMRT)."Jpn J Clin Oncol. 33. 271-277 (2003)
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[Publications] Nishimura Y, Suzuki M, 他4名: "A pilot study of the simultaneous integrated boost method for malignant gliomas using IMRT."Abstract Book of the 12th International Congress of Radiation Research. 216 (2003)
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[Publications] Nishimura Y, Nakamatsu K, 他2名: "Improvement in therapeutic ratio for head and neck cancers by chemoradiotherapy and IMRT."Abstract Book of the 3^<rd> Japan-USA Cancer Treatment Symposium. 9 (2003)
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[Publications] 西村恭昌, 他3名: "IMRT(intensity modulated radiation therapy)の理想と現状"Radiology Frontier. 6・1. 9-12 (2003)
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[Publications] 奥村雅彦, 西村恭昌, 他4名: "近畿大学におけるIMRT(intensity modulated radiation therapy)の精度保証"日放腫会誌. 15. 29-36 (2003)
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[Publications] 西村恭昌: "放射線腫瘍学の臨床試験;特徴と現状"臨床放射線. 48. 1513-1518 (2003)