2002 Fiscal Year Annual Research Report
カテコラミン作動薬はDNAメチル化を変化させて脳内遺伝子の転写を調節するか?
Project/Area Number |
14570906
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼知 陽太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00261636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼知 寿美子(吉田) 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50261532)
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Keywords | 覚醒剤 / 薬物乱用 / 統合失調症 / 遺伝子発現 / メチル化 / シナプス蛋白 / 可塑性 |
Research Abstract |
カテコラミン作動薬であるメタンフェタミン(MAP)は、長期乱用で統合失調症に類似した精神病状態を引き起こす。MAPを投与した動物の脳では、遺伝子発現の持続性変化が想定されている。 DNA上でシトシンの次にグアニンが並ぶ5'-CG-3'配列上のシトシンがDNAシトシンメチル化酵素によってメチル化されると、転写制御因子のDNAへの結合が阻害され、下流に存在する遺伝子の発現が抑制される。DNAのメチル化は発生、分化、発癌など、細胞機能の長期持続性の変化に重要な役割を果たす。 我々はMAP投与ラットの脳で、DNAシトシンメチル化酵素mRNAの脳内発現が変化することを見出した。本年度は、遺伝子のメチル化によって発現調節を受けるシナプス蛋白のスピノフィリンについて、覚醒剤急性、慢性投与ラット脳で発現変化を調べた。 スピノフィリンmRNAは、尾状核、側坐核、嗅結節で覚醒剤投与後24時間で20-25%の有意な発現減少を認めた。海馬CA1-3領域、視床外側部では、覚醒剤投与後9時間後で25%の有意な発現増加を認めた。視床内側部では、覚醒剤投与後のスピノフィリンmRNAは徐々に増加し、投与後24時間では約2倍の有意な増加を認めた。スピノフィリンは神経細胞の可塑的変化に関与する蛋白なので、覚醒剤による長期持続性の脳機能変化にスピノフィリンが関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsuoka, H., Takahashi, T., Sasaki, M., Yoshida, S., Numachi, Y., et al.: "The long-term course of seizure susceptibility in two patients with juvenile myoclonic epilepsy"Seizure. 11. 126-130 (2002)
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[Publications] Shen, H., Numachi, Y, et al.: "Electroconvulsive shock increases serotonin transporter in the rat frontal cortex"Neuroscience Letters. (in press). (2003)
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[Publications] 藤山航, 堀内健太郎, 本多奈美, 沼知陽太郎, 他: "clobazam投与によって強制正常化を呈した前頭葉てんかんの一例"脳と精神の医学. 13. 427-431 (2002)
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[Publications] 佐藤光源, 梶井靖, 菊池周一, 沼知陽太郎, 他: "脳科学研究はここまで進んだ(高橋清久編)"(株)じほう,東京(印刷中). (2003)