2003 Fiscal Year Annual Research Report
感情障害の発症脆弱性と治療抵抗性に関する神経病理学的病態研究
Project/Area Number |
14570909
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三國 雅彦 群馬大学, 医学部, 教授 (00125353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間島 竹彦 群馬大学, 医学部, 助手 (00312869)
井田 逸朗 群馬大学, 医学部, 講師 (50251103)
福田 正人 群馬大学, 医学部, 助教授 (20221533)
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Keywords | 左前前頭前野 / 感情障害 / 発症脆弱性 / 死後脳 / FDG-PET / 脳画像 / セロトニン2-A / 受容体 |
Research Abstract |
感情障害の発症脆弱性に関連する脳部位をFDG-PETを用いて脳画像学的に同定するとともに、その部位の死後脳を検索して感情障害の病態生理の解析を行って来た。抗うつ薬治療前には健康対照より低下していた脳画像所見が正常化する、いわば機能的異常を示す左側前頭前野ブロードマン9野(BA9野)では皮質幅の低下と皮質第二層の小型神経細胞密度の低下という器質的異常が存在するという新知見を昨年得た。その左側BA9野におけるセロトニン神経伝達の異常の有無を検索するため、セロトニン-2A(5-HT2A)受容体のオリゴペプチドに対する抗体を作成し、免疫組織学的に死後脳での5-HT-2A受容体陽性細胞数を解析した。その陽性細胞数は正常対照に比して、第二層でのみ感情障害死後脳で有意に増加していた。したがって、感情障害の左側BA9野の皮質第二層が細胞構築的にも、セロトニン神経伝達機能的にも病態生理に深く関わっていることが明らかになった。従来から進められて来た感情障害の死後脳研究は世界的にみても自殺後に心理的剖検で感情障害と診断された方々の脳を解析したものが大部分であり、本報告のように病死した方々だけの死後脳を解析し、左側BA9野の皮質第二層の病態生理を明らかにした研究は貴重であるといえる。 次に、ラット海馬に発現する遺伝子ライブラリーからプラスミドDNAを採取し、シークエンスして、約12000のExpressed sequence tags(ESTs)を得た。これらのESTsは約7000個の遺伝子からなることが明らかになり、細胞内情報伝達、細胞分裂、細胞防御、代謝などの機能別に分類することができ、独自のマイクロ・アレーを作成することに成功した。このマイクロ・アレーを用いて、胎生期ストレス負荷により形成されるストレス脆弱性に関連する遺伝子のクローニングを進めた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suto T, Fukuda M, Ito M, Uehara T, Mikuni M: "Multichannel near-infrared spectroscopy in depression and schizophrenia : cognitive brain activity study. Biological Psychiatry"Biological Psychiatry. 55. 501-511 (2004)
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[Publications] 三國 雅彦: "発症脆弱性の脳機能・器質因子"Clinical Neuroscience. 22. 147-150 (2004)
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[Publications] Okuyama-Tamura M, Mikuni M, Kojima I: "Modulation of the glucocorticoid receptor function by antidepressant compounds."Neuroscience Letter. 342. 206-210 (2003)
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[Publications] 福田正人, 上原 徹, 井田逸朗, 三國雅彦: "うつ病の新しい診断方法の開発"日本臨牀. 61. 1667-1682 (2003)
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[Publications] 福田正人, 伊藤 誠, 須藤友博, 亀山正樹, 山岸 裕, 上原 徹, 井田逸朗, 三國雅彦: "近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)の臨床応用"分子精神医学. 3. 27(295)-40(308) (2003)
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[Publications] 福田正人, 伊藤 誠, 須藤友博, 亀山正樹, 山岸 裕, 上原 徹, 井田逸朗, 三國雅彦: "新しい脳画像診断法の精神疾患への臨床応用-近赤外線スペクトロスコピーNIRS-"精神科. 3. 478-487 (2003)
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[Publications] Uehara T, Ohmori I, Goto M, Kawashima Y, Moro H, Fukuda M, Mikuni M: "Eating disorders and family functioning-relationships with diagnostic classifications, symptoms, and outcomes."Focus on Eating Disorders Research (Edited by Pamela I.Swain). 135-150 (2003)