2002 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病の出生季節偏りの要因を特定し予防法確立の手がかりを得るための多施設共通研究
Project/Area Number |
14570910
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 司 東京大学, 保健管理センター, 助教授 (50235256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 明 長崎大学, 大学院・医歯薬総合研究科, 講師 (40325642)
久住 一郎 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (30250426)
岡崎 祐士 三重大学, 医学部, 教授 (40010318)
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Keywords | 精神分裂病(統合失調症) / 神経発達障害 / 出生季節性 / 気温 / 感染症 / 日照 / 環境要因 / 遺伝環境相互作用 |
Research Abstract |
出生季節の違いが精神分裂病(統合失調症)の発病リスクに影響することは、欧米を中心に多くの研究で報告され、確実な知見として認められている。この現象の具体的原因を知ることは、分裂病の基盤にある神経発達障害の機序解明と、予防法確立の手がかりを得る上できわめて重要である。しかし、これまでその研究は不十分で、気温、インフルニンザその他の感染、日照など様々な候補のうちいずれが関与しているのかは明らかでない。本研究の目的は、同じ日本国内でも気候の条件が全く異なる北海道、東北、関東、東海、九州各地方で、その地方で出生した分裂病患者の出生季節の偏りを調べ、ピークの月や、年による変動などを比較することで、具体的にどのような要因が分裂病の出生季節の偏りに影響を与えているかを明らかにすることである。平成14年度の成果は以下の通りである。 まず、これまで不十分ながら出生季節の偏りと様々な季節性要因との関連を調べたこれまでの論文の詳細なreviewを改めて行った。やはり結論に達するような結果は、これまでめ研究を総合しても得られなかった。また、分裂病との関連が最も多く調べられているインフルエンザ感染は、従来のように妊娠第2期(second trimester)でその影響が最も大きいと考えると、これまで観察されてきた出生季節の偏りには大きく影響する可能性は低いことが示唆された。気温との関連は一部その関連を示唆する研究が見られた。しかし、いずれの研究も他の変数のコントロールが不十分で、今後は多変量解析の導入とそれに見合う規模のデータ収集の必要性が示唆された(投稿中)。なお、データの収集解析に関しては、これまで東京周辺の5,500人分と東北地方北部出生の1,300人分のデータを解析し、投稿準備中である。北海道、三重、長崎のデータも収集中であるが、統計解析に耐えるデータ規模にするためさらに作業を続行中である。
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Research Products
(1 results)