2002 Fiscal Year Annual Research Report
サルの大脳皮質帯状回ニューロンの空間認知機能の解明
Project/Area Number |
14570919
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
谷渕 育夫 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40251996)
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Keywords | 帯状回 / 前頭前野 / 遅延反応課題 |
Research Abstract |
前頭前野背外側部がワーキング・メモリーなどの空間認知機能を司ることがサルを用いた電気生理学実験から明らかになっている。この研究では、前頭前野背外側部へ密な線維投射を有する大脳皮質帯状回が前頭前野背外側部と同様の空間認知機能を担っているかどうかを解明する。まず、眼球運動を用いた遅延反応課題である記憶誘導性サッケード(ODR)課題とそのコントロール課題である視覚誘導性サッケード(VGS)課題で2頭のサルを訓練した。このうち訓練を終了した一頭にあらかじめMRI撮影を行い、帯状回が位置すると思われる部位の直上の頭蓋骨に脳定位的に記録用シリンダーを設置した。サルが手術から充分回復後、マイクロマニピュレーターを駆動して記録電極を皮質帯状回が存在するとみられる部位に進め、サルがODR課題やVGS課題を遂行中の単一細胞外記録を行っている。現在までに得られたデータでは、両課題で反応期(サツケード眼球運動)に関連して自発発火頻度を変化させるニューロンが見つかっている。また同じ部位でODR課題の視覚刺激呈示期や遅延期に反応するニューロンも少数見出された。今後、帯状回に隣接する大脳皮質領野でも記録を試み、そこで記録されるニューロンのこれら課題に対する発火パターンが帯状回で見出されているニューロンのそれと異なるかどうかを調べる必要がある。ただし最終的な記録部位の確認は、電気生理学実験終了後の組織学的検索を待たなければならない。2頭目のサルについても、近日中に頭蓋骨上への記録シリンダーの埋め込み手術を行う予定である。
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