2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570923
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白川 治 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40243307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
主田 英之 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90335448)
上野 易弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184956)
前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251)
西村 明儒 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (60283561)
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Keywords | 自殺 / セロトニン / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
自殺の生物学的背景としては、衝動性の障害やストレス耐性低下との関連からセロトニン神経伝達系の失調が最も広く受け入れられている。本研究では、自殺の生物学的マーカーを同定し、自殺に至る生物学的要因を遺伝子レベルで明らかにするために、遺伝子多型に着目し、セロトニン神経系の遺伝子多型と自殺との相関研究を行った。 神戸大学医学部法医学教室において行った法医学剖検例での自殺既遂者163例(男性113例、女性50例、平均年齢±SD:47.9±17.6歳)を対象とした。健常対照群は、383例から、自殺既遂者と性別・年齢を対照させた163例(男性113例、女性50例:44.7±14.9歳)を無作為抽出した。自殺既遂者および健常対照者の血液からDNAを抽出し、以下のセロトニン神経系遺伝子多型については既報に従い変異の有無を同定した。 1)トリプトファン水酸化酵素:A-6526G(promoter)、A218C(intron7) 2)セロトニントランスポーター:5HTT-LPR(promoter)、5HTT-VNTR(intron2) 3)セロトニン1A受容体:Pro16Leu、Gly272Asp、 4)セロトニン1B受容体:G861C 5)モノアミン酸化酵素A : uVNTR(promoter) 今回の解析の対象となったセロトニン神経系遺伝子多型の遺伝子型、遺伝子頻度は、自殺者群、健常対照群の間で有意差はなく、これらの遺伝子が自殺に関与している可能性は低いと考えられた。今後はさらに多数の症例で、他のセロトニン関連遺伝子多型の解析に加え、性差、年齢、複数の機能的遺伝子多型の組合せを考慮にいれた解析を予定している。また、自殺者脳における発現プロファイル解析による候補遺伝子の絞り込みと未知の遺伝子多型の探索を検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nishiguchi, N.: "Lack of an association between 5HT1A receptor gene s structural polymorphisms and suicide victims"Am J Med Genet. 114・4. 423-425 (2002)
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[Publications] 小野久江: "自殺者におけるセロトニン神経伝達系遺伝子多型"精神薬療基金研究年報. 34. 242-247 (2002)
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[Publications] Ono H: "No evidence of an association between a functional monoamine oxidase a gene polymorphism and completed suicides"Mol. Psychiatry. 7・10. 1127-1132 (2002)
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[Publications] 白川 治: "自殺の生物学的側面と自殺予防"心と社会. 33・2. 34-40 (2002)