2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール精神依存形成過程における脳内報酬系の評価
Project/Area Number |
14570928
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
竹内 義喜 香川大学, 医学部, 教授 (20116619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 崇範 香川大学, 医学部, 助教授 (30274294)
横山 俊史 香川大学, 医学部, 助手 (10380156)
渡辺 岳海 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (50304598)
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Keywords | アルコー依存症 / 脳内報酬系 / 海馬 / BDNF mRNA / GDNF mRNA / OMgp mRNA / Real-time RT-PCR |
Research Abstract |
アルコール依存症モデル動物の脳内報酬系(海馬、扁桃体、側座核、前頭前野等)のうち海馬における、脳由来神経栄養因子(Brain-Derived Neurotrophic Factor、BDNF)とグリア細胞由来神経栄養因子(Glial-Derived Neurotrophic Factor、GDNF)、更に、ミエリン構成たんぱく質(Oligidendrocyte Myelin Glycoprotein, OMgp)のmRNA発現レベルの変化を、Real-time RT-PCR解析した。 Wistar系ラット(雄、10週齢)に、最終濃度5% (V/V)エタノールに調整した液体飼料を19週間投与した。対照群にはショ糖により等カロリーに調整した飼料を投与した。投与期間終了後、両側の海馬を採取しReal-Time RT-PCR法にて定量解析を行った。 ラットの体重はエタノール投与開始時(10週齢)には両群間に有意差を認めなかったが、29週齢時(19週間後)ではエタノール投与群は対照群に比べ有意な減少を認めた。更に脳重量についても、エタノール投与群で有意な減少を認めた。Real-time. RT PCRによる定量の結果、エタノール投与群のBDNFおよびGDNF mRNA発現量は、対照群に比べ有意差を認めなかったが、OMgp mRNA発現量は有意に減少していた。 29週齢時で、エタノール投与群が、コントロール群と比較して、体重および脳重量が減少したことはアルコールの影響と考えられる。実際、アルコールミオパチーと云われる骨格筋障害は多くのヒトアルコール依存症者に共通した特徴であり、慢性アルコール投与により骨格筋だけでなく全身のタンパク質代謝の充進も見られるという報告がある。本研究では19週間の慢性アルコール摂取後、海馬のBDNF mRNAとGDNF mRNAの発現量に有意な変化が見られないことが明らかになった。しかし、BDNF及びGDNF mRNA経時的変化をした可能性は否定できない。これについては現在、複数の解析ポイントで解析中である。一方、OMgp mRNAの減少は、ヒトアルコール依存症患者で見られる髄質の萎縮性変化と一致するものである。これらの変化は、アルコール依存症患者が呈する中枢神経症状に関与するものと考察できる。
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Research Products
(5 results)