2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の身体小奇形と神経栄養因子遺伝子との関連
Project/Area Number |
14570933
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤丸 浩輔 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (70284685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 雅希 長崎大学, 保健管理センター, 助教授 (70264223)
今村 明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40325642)
辻田 高宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40304919)
中根 允文 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80039833)
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Keywords | 統合失調症 / Minor Physical Anomalies / 神経発達障害 / Waldrop Scale / 神経栄養因子 / 高口蓋 / 頭囲 |
Research Abstract |
統合失調症(昨年、精神分裂病から改称)が胎生期の神経発達異常に起因するという神経発達論的成因仮説の立証研究において、神経発達異常の指標として、身体小奇形Minor Physical Anomalies (MPAs)が注目されてきた。今回、統合失調症患者313人と健常対照128人において、MPAsの発生率をThe Waldrop Scaleによって評価した。患者群の得点(平均2.10,SD1.69)は健常対照群の得点(平均1.67,SD1.41)よりも有意に高かった(U=17274.5、p=0.02)(Mann-Whitney U 検定)。Waldrop scale得点の中央値(2点)以上を高得点とすると、患者群は健常対照群と比較して有意にMPA高得点が多かった(p=0.03)(Fisherの直接確率)。患者群に有意に多いWaldrop scale項目は、変形耳介(p=0.039)、溝状舌(p=0.006)、健常対照の平均から1.5SDを超える小頭囲(p=0.015)、高尖塔口蓋(p=0.041)であった(Fisherの直接確率)。患者群内で、Waldrop scale得点と発症年齢の有意な相関はなかった(r=0.031)(Spearman相関)。早期(18才未満)発症患者67人のWaldrop得点の平均は2.0(SD=1.7)、18才以降発症の患者245人のWaldrop得点の平均は2.1(SD=1.7)で、両群間でWaldrop得点の有意な差はなかった(U=7884.0、p=0.61)(Mann-Whitney U 検定)。 本研究の目的は、MPAsを高頻度に合併する統合失調症の一群と、神経栄養因子遺伝子の関連(association)を検討することである。今年度の調査で抽出された高MPA群について、次年度は神経栄養因子遺伝子との関連を調査していく予定である。高頻度にMPAsを合併する統合失調症のみからなる一群に、神経栄養因子遺伝子との有意な関連が認められれば、統合失調症の神経発達障害仮説の強力な裏付けとなるであろう。
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Research Products
(1 results)