2003 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤依存の病態および治療に関する分子生物学的研究
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14570939
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
福居 顯二 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (50165263)
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Keywords | 有機溶剤 / synaptophysin / 精神依存 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
有機溶剤の吸入により生じる精神症状や精神依存がドーパミンやセロトニンといった脳内モノアミンニューロンの神経伝達や神経可塑性と深く関わっていることから、前シナプスでシナプス小胞の開口放出において細胞膜との融合孔形成に関与する分子の一つであるsynaptophysinに着目し、免疫組織学的手法を用いて生体内中枢神経系における有機溶剤依存のメカニズムを検索した。 実験動物は生後50日齢のWistar系雄性ラットを用いた。動物を透明なプラスティック容器(60×40×35cm)内にトルエン(2ml,2000ppm)を吸収させたろ紙の入ったシャーレを置き、その中に飼育ケージごと動物を3時間ずつ吸入曝露させた。トルエン吸入曝露させた群を単回投与(急性曝露)と2週間連続投与(慢性曝露)のものを作製し、対照動物も同様の処置をトルエンの入っていない別の容器を用いて同時に行った。また、容器内のトルエン濃度・酸素濃度も同一条件にした。 4%パラホルムアルデヒドで灌流固定後脳を摘出し、クリオスタットにて切片を作成した。synaptophysinに対する特異抗体(1次抗体)を室温で4日から7日間反応させたのち、型通りのABC法をおこない光学顕微鏡を用いて観察した。 その結果、トルエン急性曝露群において、対照群に比してsynaptophysin免疫反応が大脳皮質前頭前野,側頭葉皮質,側坐核で増強する傾向が認められた。また慢性曝露群においても側頭葉皮質,側坐核の一部で増強する傾向が認められた。これらが、依存等に関与するドーパミンA10ニューロンの分布に合致することから、有機溶剤による依存の形成にsynaptophysinが関与していることが示唆された。現在、さらにRT-PCRやノーザンブロットを用いて、synaptophysin遺伝子の発現量をより定量的に検索している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 土田英人, 北林百合之介, 横山ちひろ, 福居顯二: "薬物依存の組織化学"Clinical Neuroscience. (発表予定). (2004)
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[Publications] 北林百合之介, 上田英樹, 床山ちひろ, 福居顯二: "アルコール・覚せい剤などの薬物乱用"日本医師会雑誌特別号. (発表予定). (2004)
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[Publications] 福居顯二: "今日の治療指針2003「薬物依存」"医学書院. 647-648 (2003)