2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮を用いたアルツハイマー病診断に関する研究
Project/Area Number |
14570948
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Research Institution | KANAZAWA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中橋 毅 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40350764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50028677)
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Keywords | 口腔粘膜上皮 / タウ蛋白 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
タウ蛋白の発現様式はアルツハイマー病(AD)発症とよく相関し、脳脊髄液中のタウ蛋白の分画からAD発症の危険を予測することが可能となってきているが、本研究では非侵襲的なアルツハイマー病診断法を確立する目的で口腔粘膜上皮のタウ蛋白発現量を検討した。これまでの我々の検討で口腔粘膜上皮のタウ蛋白は蛋白レベルでは神経細胞由来のタウ蛋白と相同性をもち、その発現量はAD発症と相関が明らかにされている。今年度は口腔粘膜上皮のmRNAレベルにおけるタウ蛋白の発現様式を詳細に検討した。培養ヒト由来ケラチノサイトよりTotal RNAを抽出し、これをもとにRT-PCRを行った。第17番染色体上のタウ遺伝子を増幅する8種類のプライマーのうち第4エクソンから第7エクソンまでを増幅するプライマー(Forward:5'-AAGAAGCAGGCATTGGAGA, Reverse:5'-AGAGCTGGGTGGTGTCTTTG)により245塩基対と443塩基対の2種類の産物が得られ、dye-terminator cycle sequence法により塩基配列を解析した結果、前者は第4、第5、第7エクソンからなり、後者は第4、第5、第6、第7エクソンよりなっていた。前者は神経細胞でも報告に完全に一致していたが、後者はこれまでに知られているものから第4aエクソンが欠落したものであった。さらに第6エクソンに相当する部分には3箇所において、これまでの報告に一致しない塩基配列があり、それぞれ1塩基置換(SNPs)の可能性があると考えられた。これらの遺伝子多型は蛋白構造に直接関与しているため、AD発症に関連している可能性が予想されるが、これらのSNPsの遺伝子頻度や疾患との関連は現段階では不明である。以上より、口腔粘膜上皮に発現するタウは神経細胞と共通のものがみられ、ADの非侵襲的診断に有用であることが示唆され、ADの発症予防・治療に大きく貢献できるものと考えられた。 以上の結果の一部を第45回に本老年医学会学術総会(2003年6月名古屋)において発表した。
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