2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570963
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 孝之 東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (10166671)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 司 東京大学, 医科学研究所, 寄附研究部門教員 (10323643)
|
Keywords | ファンコニ貧血 / 再生不良性貧血 / 骨髄異形成症候群 / 白血病 / DNA修復 / ゲノム不安定性 |
Research Abstract |
ファンコニ貧血(FA)は常染色体劣性遺伝性の造血疾患で、小児期に再生不良性貧血を発症し、その後に骨髄異形成症候群や白血病への高率に進行する。また、固形癌や先天奇形を合併し、細胞は染色体不安定性とDNA架橋剤への高感受性を特徴とする。遺伝的に8群(A-G)に分類され、7つの責任遺伝子が同定されている。現在のFA分子経路モデルでは、FANCA/C/E/F/Gを含む核内複合体に依存してFANCD2がモノユビキチン化を受けて活性化され、活性型FANCD2は家族性乳癌遺伝子産物BRCA1と相互作用してゲノム安定化に重要な役割を果たすとされる。我々はFANCAの種々の変異体を用いてFA分子経路を解析したその結果、他のFA蛋白と安定した複合体を形成しないFANCAが核内に移行し、中程度のFANCD2モノユビキチン化を誘導し、DNA架橋剤への感受性を回復させることを見出した。これらの結果は、従来のモデルに反して、FA蛋白の安定な複合体の形成はFANCD2の活性化に促進的に働くが、必須でないことを示唆する。また、FANCAの核移行とリン酸化がFA蛋白複合体の形成と独立して制御され、FA分子経路活性化に重要であることが示唆された。一方、日本人FA患者の遺伝子解析を行い、45家系のうち26家系(約60%)がA群に属し、10家系(約20%)がG群に属することを見い出した。FANCA変異は多様な変異を示し、約60%が一家系のみに見られるprivate変異であった。対照的にFANCG変異の大部分は、IVS3+1G>Cと1066C>Tの2種類の変異が約90%を占めた。このふたつの変異は、特有のハプロタイプを持つアリルに存在し、それぞれが共通の起源を持つfounder変異であることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Adachi D, Oda T, Yamashita T, et al.: "Heterogenous activation of the Fanconi anemia pathway by patient-derived FANCA mutants"Hum. Mol. Genet.. 11. 3125-2002 (2002)
-
[Publications] Yagasaki H, Oda T, Yamashita T, et al.: "Two common founder mutations of the Fanconi anemia group G gene FANCG/XRCC in the Japanese population"Hum Mutat. (印刷中). (2003)