2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規標的ペプチド組込みアデノウイルスベクターによる抗腫瘍免疫遺伝子治療の臨床開発
Project/Area Number |
14570964
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 聡 東京大学, 医科学研究所, 講師 (60226834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 淳 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20302606)
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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Keywords | 遺伝子治療 / 癌免疫 / 細胞療法 / ターゲッティング / アデノウイルス / CD40リガンド / 白血病 / ランダムペプチド発現ファージ・ライブラリー |
Research Abstract |
腫瘍特異的ペプチドの探索として、標的腫瘍に慢性リンパ性白血病(CLL)を選択し、ランダムペプチド発現ファージ・ライブラリーを用いて患者白血病細胞特異的なペプチドの同定を試みた。その結果、44種類の20-merペプチドを選び出し、そのうちの29種類について、白血病細胞への結合能を評価したところ、14種類のペプチドは白血病細胞のみならず、B, Tリンパ球、および単球に結合したが、8種類のペプチドはCLL細胞のみに結合することが明らかとなった。これらの結合能の特異性はセレクションに用いた標的細胞によって大きく異なり、一部の患者由来の細胞を用いた場合は、白血病特異的なペプチドが得られた一方で、他の患者由来の場合は、血液細胞一般に結合するペプチドが選択された。ペプチド自体の細胞結合能を評価するために、ファージから離した状態で結合能を調べたところ、1種類の合成ペプチド(1-5)を用いた場合に、患者由来の白血病細胞へのターゲッティングが可能となり、Adベクターを用いてのex vivoにおける遺伝子導入効率が高まることを明らかにした。 一方、B細胞性悪性腫瘍の抗原性を上昇させるために、CD40リガンド分子を応用することを計画したが、ヒトCD40リガンド遺伝子を白血病細胞直接導入することは一般的に困難であった。そのため、まず我々はB-CLL細胞表面上にCD40リガンドの発現を誘導する方法を開発した。すなわち、アデノウイルス(Ad)ベクター系を用いてヒトCD40リガンド遺伝子をヒト胎児肺線維芽細胞株であるMRC-5細胞に導入し、B-CLL細胞をこれと共に培養した。共培養後の白血病細胞を解析してみると、CD40リガンドの高発現と共にB7-1、B7-2、ICAM-1の発現の上昇が確認でき、これらはサイクロヘキサミドによって抑制を受けることから、CD40の刺激由来であることが明らかとなった。一方で、蛋白合成阻害はCD40Lの発現は阻害しないことから、CD40リガンド発現はMRC-5細胞からの蛋白細胞間移行によるものと考えられた。 さらに、数多くの腫瘍細胞株に遺伝子導入効率の高いファイバー変換型アデノウイルスベクターを用いてヒトCD40リガンド発現アデノウイルスベクターの作成を試みている。また、CD40リガンドの可溶化部位、インテグリン結合部位などに変異を導入した改変型CD40リガンドも同時に作成しその発現は免疫染色・免疫沈降、ELISA等により、生物活性は樹状細胞の活性化により評価し、生物活性の高く安定した新規CD40リガンドを得ている。 また、CD40陰性または弱陽性の骨髄性白血病(化学療法・移植療法抵抗性)に対しては、CD40の発現・シグナルを増強する分化誘導剤(レチノイン酸)との組み合わせによりCD40リガンドの遺伝子導入を行い、in vitroにおける抗腫瘍免疫の増強効果を確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahashi S, et al.: "Selection of chronic lymphocytic leukemia (CLL) binding peptides"Cancer Res. 63. 5213-5217 (2003)
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[Publications] Ooi J, Takahashi S, et al.: "Unrelated cord blood transplantation for adult patients with de novo acute myeloid leukemia."Blood. 103. 489-491 (2004)