2003 Fiscal Year Annual Research Report
形質細胞の腫瘍化におけるCD27遺伝子の発現欠失の意義
Project/Area Number |
14570982
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坂井 晃 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70284221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英夫 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (50243613)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / CD27 / CD70 / Siva |
Research Abstract |
骨髄形質細胞におけるCD27の発現率は多発性骨髄腫(MM)の病期と関連していることが明らかとなった。即ち正常形質細胞はCD27陽性であるが、良性単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)やMM stage IではCD27陽性と陰性両分画に形質(骨髄腫)細胞を認め、MMの病期進行に伴いCD27陰性骨髄腫細胞の割合が増加してくる。さらにMM stage I症例のCD27^+CD38^<++>とCD27^-CD38^<++>細胞分画を各々をsortingし、RT-RCR法によりCD27陰性骨髄腫細胞にはCD27遺伝子の発現がないことを確認した。 次にMMの病期の進行に伴うCD27の発現の低下や、CD27-CD70結合によりCD27の細胞質内ドメインに結合するSivaによりアポトーシスが誘導されるという報告から、CD27-CD70結合のシグナルを通じ骨髄腫細胞にアポトーシスを誘導できるかどうか、またアポトーシス関連遺伝子に変化が生じるかどうかに関する解析を行った。まずCD27陰性骨髄腫細胞株のU266及びKMS-5にCD27を、またNIH3T3細胞にCD70の全長cDNAを移入し、CD27陽性の骨髄腫細胞株及びCD70陽性のNIH3T3細胞株を樹立した。これらCD27陽性の両細胞株とCD70陽性のNIH3T3細胞を3日間共培養し、PI/AnnexinV染色法及びDNAラダー法でアポトーシスの誘導を解析した。しかし、CD27移入骨髄腫細胞のアポトーシスの誘導を確認できなかった。また移入CD27がSiva蛋白と結合しているかをIP/Western法で解析したが、確認できなかった。さらにCD70の刺激によるCD27移入骨髄腫細胞における遺伝子変化をIntelligene Human Apoptosis Chip(TaKaRa)を用いたcDNA microarrayで解析した。ベクターのみを移入した骨髄腫細胞株との比較で、CD27を移入したU266とKMS-5にて、8個の遺伝子で発現上昇を、15個の遺伝子で発現低下を認めた。特に両方の細胞株でectodermal-neural cortex 1(ENC1)に2倍以上の発現上昇が認められた。SivaはCD27陽性細胞に発現が高い傾向があったが有意差を認めなかった。 さらにまたCD27発現欠失の機序がepigeneticなものかどうかについてmethylationの有無を検討した。CD27発現のないRPMI8226細胞株において5'-Azacitidine処理をおこなったところCD27の発現が回復し、CD27発現の低下の背景にmethylationの関与が推測された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katayama, Y.: "A possible role for the loss of CD27-CD70 interaction in myelomagenesis"Br.J.Haematol.. 120(2). 223-234 (2003)
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[Publications] 沖川佳子: "骨髄腫細胞とCD27抗原"血液・腫瘍科. (in press). (2004)