2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞の増殖を調節する刺激伝達分子と遺伝子の解析
Project/Area Number |
14570983
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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Keywords | 骨髄腫 / IL-6 / IGF-I / 細胞増殖 / FGFR3 / IL-6Rα / CD45 / Akt |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は単クローン性のヒト形質細胞腫瘍であり、殆ど全ての骨髄腫細胞がIL-6受容体を発現しているにもかかわらず、一部の骨髄腫細胞のみが増殖因子IL-6に反応している。我々はこれまでに骨髄腫細胞がIL-6に反応して増殖するためにはCD45の発現とsrc型チロシン・キナーゼLynの活性化が重要であることを示してきた。 さらに、IL-6Rαを過剰発現(他の骨髄腫細胞株の数十倍程度)する骨髄腫細胞株NOP-2は無血清培地でIL-6依存性増殖を示した。NOP-2では、IL-6刺激依存性にIL-6RαとIGF-I受容体β鎖の複合体形成が認められ、IGF-I受容体β鎖のリン酸化が観察された。それに伴ってIRS-1のリン酸化、PI3-K・Aktの活性化が認められた。Aktの下流では転写因子FKHRのリン酸化に伴うFasリガンドとp27^<Kip1>遣伝子の発現抑制、MDM2のリン酸化に伴うp53の不活性化とBax、p21^<cip1/Waf1>遺伝子の発現抑制が観察された。また、P27^<Kip1>はAktに直接リン酸化されることによっても不活性化されていた。これら一連のPI3-K・Akt刺激伝達系の活性化がIL-6による細胞増殖に重要であることが示された。IL-6によるIGF-I受容体β鎖のリン酸化はJak非依存性であり、過剰発現したIL-6Rαが細胞膜上のlipid raftでIGF-I受容体と共存することにより、IL-6刺激依存性にIL-6RαとIGF-I受容体β鎖の複合体形成が起こり、IGF-I受容体β鎖の自己リン酸化が誘導されると考えられた。 また、骨髄腫細胞ではFGFR3遺伝子の構造変化または過剰発現が高頻度で観察される。ヒト骨髄腫細胞株KMS-11は染色体相互転座によりFGFR3を異所性発現しており、IL-6と同時にFGFで刺激した場合にのみKMS-11の細胞増殖が促進された。KMS-11ではIL-6とFGFは各々異なった刺激伝達分子を活性化していたが、一方でSTAT3に関しては両者のクロストークが観察された。IL-6またはFGF単独ではKMS-11の細胞増殖に影響を与えなかったことから、受容体の構造が異なる両者からの刺激が相加的、協調的にFGFR3を異所性発現する骨髄腫細胞に増殖刺激を誘導すると考えられた。 これらの結果から、CD45を発現していない骨髄腫細胞(NOP-2、KMS-11)でも、IL-6Rαの過剰発現またはFGFR3の異所性発現によりIL-6による細胞増殖が誘導され得ることが解った。詳細な機序は異なっていた(CD45によるLynの活性化、IL-6Rαの過剰発現によるIGF-I刺激伝達系の活性化、FGFR3の異所性発現によるIL-6刺激伝達系との相加的・協調的作用)が、何れの場合もIL-6による骨髄腫細胞増殖にはSTAT3とERK1/2の活性化だけでは不十分であることは共通しており、細胞膜上の他の分子を介した補助シグナルが必要であることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ishikawa, H.: "Interleukin-6-induced proliferation of human myeloma cells associated with CD45 molecules"Int.J.Hematol.. 78・2. 95-105 (2003)
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[Publications] Ishikawa, H.: "Interleukin-6, CD45 and the src kinases in myeloma cell proliferation"Leuk.Lymphoma. 44・9. 1477-1481 (2003)
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[Publications] Tsuyama, N.: "The regulatory mechanism of IL-6-dependent proliferation of human myeloma cells"Hematology. 8・6. 409-411 (2003)
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[Publications] Abroun, S.: "Receptor synergy of interleukin-6(IL-6) and insulin-like growth factor I in myeloma cells that highly express IL-6 receptor α"Blood. 103・6. 2291-2298 (2004)
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[Publications] 石川 秀明: "インターロイキン6による骨髄腫細胞の増殖にはCD45とsrc型キナーゼが必要である"山口医学. 52・4. 105-112 (2003)
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[Publications] 石川 秀明: "骨髄腫細胞のバイオロジー"血液・腫瘍科. 47・5. 403-411 (2003)
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[Publications] 石川 秀明: "Annual Review 血液 2004"中外医学社. 264 (2004)