2003 Fiscal Year Annual Research Report
HM1.24抗原を介するシグナル伝達の解明と造血器腫瘍の治療への応用
Project/Area Number |
14570984
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
尾崎 修治 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90314872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安倍 正博 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80263812)
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Keywords | 造血器腫瘍 / 免疫療法 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
造血器腫瘍細胞に発現しているHM1.24抗原はHM1.24抗体を用いた免疫療法の標的抗原として機能することから,その細胞死のメカニズムについて検討した。これまでの研究において,抗HM1.24抗体は2次抗体の存在下でHM1.24抗原をクロスリンクすることにより,造血器腫瘍細胞に対する細胞の凝集化を誘導することを明らかにした。また,この条件下ではAnnexin V陽性およびTUNEL陽性細胞の出現が認められ,HM1.24を介するシグナルによりアポトーシスが誘導されることを確認した。 次に,骨髄腫細胞にアポトーシスを誘導する既存の各種抗がん剤との併用効果について,細胞増殖試験による検討を加えた。骨髄腫細胞株はメルファランやエトポシドにより用量依存性に細胞増殖が抑制されたが,抗HM1.24抗体と2次抗体の存在下により細胞増殖はさらに抑制された。これらの結果から抗HM1.24抗体を用いた免疫療法は,腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し,抗がん剤の抗腫瘍効果をさらに増強させるものと考えられた。 さらに,HM1.24抗原を標的とした免疫療法を確立する目的で,HM1.24抗原を認識する細胞傷害性T細胞の誘導を試みた。HM1.24抗原由来のペプチドにて樹状細胞を刺激した後,末梢血リンパ球と培養することにより,HM1.24ペプチドを認識するT細胞株を誘導することに成功した。今後は,このT細胞による細胞傷害活性について検討し,新たな分子標的治療の開発への応用を試みる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 尾崎修治: "ヒト型化抗HM1.24抗体と多発性骨髄腫の抗体療法"癌の臨床. 48巻2号. 101-108 (2002)
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[Publications] 尾崎修治: "骨髄腫に対する新規の抗体療法-特に抗HM1.24抗体療法について-"血液フロンティア. 12巻5号. 651-659 (2002)
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[Publications] 尾崎修治: "多発性骨髄腫に対する抗体療法"分子細胞治療. 1巻3号. 279-285 (2002)
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[Publications] Abe M: "Role for macrophage inflammatory protein(MIP)-1alpha and MIP-1beta in the development of osteolytic lesions in multiple myeloma"Blood. 100巻6号. 2195-2202 (2002)
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[Publications] 尾崎修治: "骨髄腫に対する分子標的療法の現状"血液・腫瘍科. 48巻3号. 305-311 (2004)
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[Publications] Hashimoto T: "Ability of myeloma cells to secrete macrophage inflammatory protein(MIP)-1a and MIP-1b correlates with lytic bone lesions in patients with multiple myeloma"Br J Haematol. 125巻1号. 38-41 (2004)