2002 Fiscal Year Annual Research Report
RCAS1による造血の調節機構の解明と造血幹細胞移植への臨床応用
Project/Area Number |
14570987
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 耕一郎 九州大学, 医学部附属病院, 講師 (50229928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 康信 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (90304774)
中島 学 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50198074)
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Keywords | apoptosis / hematopoiesis / RCAS1 / macrophage |
Research Abstract |
骨髄マクロファージはRCAS1を発現しており、周囲の造血前駆細胞にアポトーシスを誘導することによって、造血を負の方向に調節していると考えられる。そこで、マクロファージによるRCAS1の産生を、免疫染色、RT-PCRおよびELISAにより検討した。正常人末梢血よりCD14免疫磁気ビーズにより純化した単球は、細胞質にRCAS1を発現していた。細胞をLPSにより刺激すると、細胞質のRCAS1の発現が増強され、細胞膜が濃染された。染色パターンにも変化が見られた。すなわち、非刺激単球では、細胞質がびまん性に染色されたが、刺激後は、顆粒状に染色される傾向が認められた。RCAS1を電子顕微鏡を用いて免疫組織化学的に観察すると、刺激したマクロファージでは、RCAS1は細胞の小胞体、空砲、ブレブに認められ、RCAS1の分泌が示唆された。RT-PCRによる検討では、非刺激状態の単球では、RCAS1mRNAはごくわずかに検出されるのみだったが、LPS添加培養によって発現は著明に増強した。細胞の培養上清中のRCAS1を、ELISAにより測定した。非刺激では、単球の培養上清中にRCAS1は検出されなかった。異なった濃度のLPSを培養液中に添加すると、濃度依存性に培養上清中のRCAS1は増加した。直接的に単球-マクロファージによる造血前駆細胞に対するアポトーシスの誘導を証明するために、共培養実験を行った。LPS刺激マクロファージと末梢血より純化した赤芽球系前駆細胞を共培養すると、赤芽球系前駆細胞に細胞死が誘導された。非刺激単球には、この殺細胞効果は認められなかった。これらの結果より、炎症などで刺激を受けた単球-マクロファージがRCAS1を分泌し、造血を抑制することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suehiro Y, Muta K et al.: "Involvement of macrophages in induction of apoptosis of human erythroid progenitor cells"Blood. 100・1. 306a (2002)
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[Publications] Abe T, Ohshinma K et al.: "Expression of apoptosis-associated protein RCAS1 in macrophages of histiocytic necrotizing lymphadenitis"International Journal of Hematology. (in press). (2003)
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[Publications] Akashi T, Oimomi H, Nishiyama K, Nakashima M et al.: "Expression and diagnostic evaluation of the human tumor-associated antigen RCAS1 in pancreatic cancer"Pancreas. 26. 49-55 (2003)
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[Publications] Oizumi S, Yamazaki K, Nakashima M et al.: "RCAS1 expression : a potential prognostic marker for adenocarcinomas of the lung"Oncology. 62. 333-339 (2002)
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[Publications] Enjoji M, Nakashima M et al.: "The tumor-associated antigen, RCAS1, can be expressed in immune-mediated diseases as well as in carcinomas of biliary tract"Journal of Hepatology. 36. 786-792 (2002)
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[Publications] Enjoji M, Nakamuta M, Noguchi K, Sugimoto R, Kotoh K, Nawata H, Nakashima M, Watanabe T: "RCAS1 expression in immune-mediated liver diseases"Journal of Clinical Gastroenterology. 34. 286-287 (2002)