2004 Fiscal Year Annual Research Report
RCAS1による造血の調節機構の解明と造血幹細胞移植療法への臨床応用
Project/Area Number |
14570987
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 耕一郎 九州大学, 大学病院, 講師 (50229928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 康信 九州大学, 大学病院, 助手 (90304774)
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Keywords | アポトーシス / 赤芽球系前駆細胞 / RCAS1 / マクロファージ / サラセミア |
Research Abstract |
RCAS1による赤芽球系前駆細胞のアポトーシス誘導は、造血組織における赤血球産生の調節に重要な役割を果たしていると考えられる。活性化したマクロファージと末梢血より純化・増幅した赤芽球系前駆細胞を共培養すると、赤芽球系細胞のアポトーシスが誘導された。この培養系にRCAS1に対する中和抗体を添加することによって、細胞のアポトーシスが抑制された。これらの結果から、マクロファージから分泌されたRCAS1が、正常造血の調節や慢性炎症の際の貧血の原因として重要な役割を果たしていることが示唆された。 無効造血は、骨髄中で造血細胞のアポトーシスが亢進した状態であると考えられている。無効造血によって貧血をきたす疾患として、骨髄異形成症候群、サラセミアなどが知られている。サラセミアでは、グロビンのα鎖とβ鎖のアンバランスによって生じたフリーグロビン鎖が、赤芽球系細胞を傷害してアポトーシスを誘導することが想定されている。そこで、サラセミア患者末梢血から、赤芽球系前駆細胞を純化・増幅し、アポトーシス亢進の有無を検討した。驚くべきことに、サラセミア患者では、純化した赤芽球系前駆細胞のアポトーシスの動態は、正常対照と差を認めなかった。そこで、さらに患者骨髄より赤芽球系前駆細胞を純化・増幅した。この際には、最終的に10%程度マクロファージが混入する。同様に正常対象者骨髄液より純化・増幅した赤芽球系前駆細胞と比較すると、サラセミア患者から純化した細胞では、アポトーシスの有意な増加を認めた。この結果は、サラセミア患者の無効造血は、赤芽球系前駆細胞単独で生じるのではなく、マクロファージから分泌されるRCAS1などのアポトーシス誘導蛋白が何らかの役割を果たしていることを示唆している。
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Research Products
(4 results)