2002 Fiscal Year Annual Research Report
ピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ(P5N)異常症の病因解明とP5Nの機能解析
Project/Area Number |
14571001
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70107762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70221207)
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Keywords | 遺伝性非球状性溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / ピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ異常症 / 変異酵素 / ミスセンス変異 |
Research Abstract |
我々は国内の諸施設より依頼された原因不明の遺伝性非球状性溶血性貧血40症例を検索し、ピルビン酸キナーゼ異常症4例、グルコース-6-リン酸脱水素酵素異常症5例、アデニル酸キナーゼ異常症1例とピリミジン-5'-ヌクレオチダーゼ(P5N)異常症1例を診断した。 赤血球P5Nは基質特異性の異なる2種のアイソザイム(P5N-I、II)が存在し、P5N異常症はP5N-I活性低下によることが明らかになっている。我々は日本人P5N異常症7家系について解析し、新規の変異3種を同定した。九州地方の5家系には共通のミスセンス変異(721G→C, G241R)、網赤血球P5N-ImRNAにエクソン8のスキッピングを認めた症例ではエクソン8の最初の塩基にトランスバージョン(339G→C)を同定した。この339C変異およびエクソン6の1塩基挿入(251-insA-252)の両方ともフレームシフトを生じる。更に、日本人P5N異常症の遺伝子解析で同定した2種のミスセンス変異を有するP5N-IをCos細胞に発現し、細胞内での安定性について検討した。変異P5N-I(425T→C、L142P)を発現したCos細胞のP5N-I活性および発現タンパク量は共に対照の約20%程度に低下していた。L142Pおよび野生型P5N-IcDNAをトランスフェクションした24時間後に培地にシクロヘキシミド(CHX)を加えP5N-I活性とタンパク量を経時的に測定したところ、野生型P5N-Iは8時間後もほとんど活性・タンパク量の変化を認めなかったが、L142Pは有意の活性・タンパク量低下を認めた。日本人P5N異常症で同定されている他のミスセンス変異(721G→C、G241R)をもつ変異P5N-Iは赤血球から部分精製した酵素を用いて、至適pHの偏位、基質親和性の低下などのキネティクス異常が明らかにされているが、Cos細胞内では対照と同様に安定であった。以上のことから、ミスセンス変異L142Pはタンパクの不安定性、G241Rは酵素の質的異常の原因となることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kanno, H., Murakami, K., Hariyama, Y., Ishikawa, K., Miwa, S., Fujii, H.: "Homozygous intragenic deletion of type-I hexokinase gene causes lethal hemolytic anemia of the affected fetus"Blood. 100(5). 1930 (2002)
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[Publications] Murakami, K., Kanno, H., Tancabelic, J., Fujii, H.: "Gene expression and biological significance of hexokinase in erythroid cells"Acta-Haematol. 108. 204-209 (2002)
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[Publications] Kanno, H., Fujii, H., Miwa, S.: "Physiological significance and molecular genetics of red cell enzymes involved in the ribonucleotide metabolism"Proc. Japan Acad. 78(10). 287-292 (2002)