2003 Fiscal Year Annual Research Report
光遮断血液回路とダイアライザーを用いた新しい血液透析法の開発
Project/Area Number |
14571012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永瀬 宗重 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10189128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 哲夫 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (80111384)
谷中 清之 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10312307)
平山 暁 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20323298)
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Keywords | 遮光透析 / 紫外線除去フィルム / ダイアライザー / 血中過酸化脂質 / 1重項酸素 / 内皮型NOS / NO過剰産生 / ウサギの遮光透析モデル |
Research Abstract |
研究の成果は以下の5点にまとめられ,関連する論文9編,特許1件を出願・公開した. (1)紫外遮光によって全遮光と同じ効果がもたらされるか 臨床応用のためには,有害波長だけ除去し,血流は目視できる帯域カットフィルターによる血液回路やダイアライザーの加工が必要である.パイロットスタディで紫外線除去フィルムの効果を調べたが,なんら効果がみられなかった.この結果は日本大学の研究グループのin vivoの実験とも一致した. (2)光によって発生する1重項酸素の検出 遮光透析が生体に有益な理由の1つの機序として,光関連の活性酸素の産生抑制が推定される.その中で1重項酸素は大きな候補であるが,測定の信頼性が問題であった.そこで1重項酸素が2,2,6,6-Tetramethyl-4-Piperidone (TMPD)をラジカル化させる反応に注目し,ESR装置を用いて定量化する方法を実用化した.この方法の開発は遮光透析の有用性の評価のみならず,creatinineからのmethylguanidine産生にも1重項酸素が関与することが明らかになった. (3)内皮型NOSの活性化における成長因子の効果 透析中の光が影響するNO合成経路の1つの可能性として,成長因子が血管内皮細胞のeNOS発現におよぼす影響を検討した.SD ratの糸球体を単離してVEGF_<165>あるいはIGF-1とincubateし,これらの成長因子がラット糸球体eNOSの発現を増加させNO過剰産生を惹起するかを調べたところ,これらの成長因子はeNOS protein, mRNA, NO_2^-を有意に増加させることが判明した.またwortmanninの抑制効果からPI-3Kの関与が示された. (4)ウサギの遮光透析モデル 遮光透析の有用性のin vivoでの解析のために,血液透析回路とダイアライザーのミニモジュールを作成し,遮光下と蛍光灯下でウサギを体外循環した.その結果は血圧,血中NO代謝物,血中過酸化脂質ともになんら変化は見られず,腎不全患者の遮光透析の動物モデルの作成は成功しなかった.抗酸化能の低下した腎不全状態にしないと,遮光の効果が現れない可能性がある. (5)特許公開中2002-325838 発明の名称 血液浄化療法装置
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirayama A, Nagase S, et al.: "Reduced serum hydroxyl radical scavenging activity in erythropoietin therapy resistant"Free Radical Research. 36. 1155-1161 (2002)
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[Publications] Ueda A, Nagase S, et al.: "Identification by an EPR technique of decreased mitochondrial reducing activity in puromycin aminonucleoside-induced nephrosis"Free Radical Biology and Medicine. 33. 1082-1088 (2002)
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[Publications] 高田健治, 永瀬宗重 ほか: "遮光透析は透析中の過酸化脂質の増加を抑制する"Therapeutic Research. 23. 1361-1363 (2002)
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[Publications] Nagase S, Suzuki H et al.: "Association of ecNOS gene polymorphisms with end stage renal diseases"Molecular and Cellular Biochemistry. 244. 113-118 (2003)
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[Publications] Hirayama A, Nagase S et al.: "Oxidative stress during leukocyte absorption apheresis"Journal of Clinical Apheresis. 18. 61-66 (2003)
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[Publications] Wang Y, Nagase S et al.: "Stimulatory effect of IGF-I and VEGF on eNOS message, protein expression, eNOS phosphorylation and nitric oxide production in rat glomeruli and the involvement of PI3-K signaling pathway"Nitric Oxide : Biology and Chemistry. (In press). (2004)