2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓病および腎不全発症に対する組織カリクレイン遺伝子の役割
Project/Area Number |
14571029
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平和 伸仁 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助教授 (20315766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 教授 (00128589)
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Keywords | カリクレイン / 慢性腎不全 / SNPs / 予後予測因子 |
Research Abstract |
2003年末の維持透析患者は23万7000人を超え、また、同年には約3万4千人の新規患者が透析導入された。透析患者の一人当たりの医療費が年間約500万円であることを考えると、透析療法に使われる医療費は年間、1兆2000億円にも達し、医療経済的にも医療費の高騰という面から大変な問題になっている。また、腎不全により維持透析を施行することは患者にとって大幅なQOLの低下を伴い、さらに合併症との戦いも日々続くことになる。我々は、カリクレインーキニン系が腎障害と密接な関係にあることを証明してきた。これらの結果から、ヒト組織(腎)カリクレインの遺伝子多型は、腎不全・腎不全合併症発症に関連する可能性があると考えた。そこで本研究では当院および関連施設にて健康診断を受けた人あるいは透析中の患者様を対象に組織カリクレイン遺伝子の多型および点変異について検討した。平成14年度は、主に患者様のリクルート(説明と同意)および遺伝子の抽出、一部のSNPSの確認を行った。平成15年度は研究参加者のさらなる追加と対照群として正常者の参加を得て、SNPの確認を行った。平成16年度には、各症例のSNPS解析とともに臨床データの収集および解析を行った。KLK1遺伝子の5'上流域のSNPは、組織カリクレインの発現調節領域にあり、一部その変異と発現量に関連を示すとの報告がある。しかし、今回の成績ではその部位と腎不全発症との関連を認めなかった。一方、我々はKLK1遺伝子の5'上流域のSNPとエクソン4のSNPが連鎖することを発見した。また、エクソン4遺伝子多型と維持透析患者の約3年の前向き検討において、Kaplan-Meier法による生存分析で有意な関連を認め、また、多変量解析においても死亡との関連が示唆された。KLK1遺伝子多型は、腎臓病発症との強い関連は示されなかったが、維持透析患者の生命予後とは関連する可能性があり、今後その病態生理的意義と役割について更なる検討が必要と思われた。
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