2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイグリカン過剰発現マウスにおける腎障害抑制作用とその機序の解明
Project/Area Number |
14571036
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠村 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00235293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60129608)
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Keywords | バイグリカン / 腎障害 / リモデリング |
Research Abstract |
各種腎障害で腎臓間質の線維化が腎機能低下の要因となっていることが知られている。最近、細胞外マトリックス糖蛋白であるプロテオグリカンが線維化の過程において重要な役割を担っていることが示され、我々もプロテオグリカンの一つであるバイグリカンが細胞増殖に与える影響が細胞の種類によって大きく異なることを報告してきた。本研究ではバイグリカンの腎臓間質における作用をin vivoとin vitroで検討することを目的とした。In vivoの実験ではαSMA-ヒトバイグリカンcDNAをC57BL/6Jマウス卵に挿入してバイグリカン過剰発現マウス(Tg)を作製した。Tgマウスおよび野生型のlittermate (WT)に一側尿管結紮(UUO)を施し、結紮5日後(n=10)、14日後(n=18)に腎臓を摘出、間質のコラーゲン合成と線維化をMasson-trichrome染色、Sirius Red染色、real-time RT-PCR、免疫染色で検討した。UUO5日後に比して14日後で患側の線維化とコラーゲンの産生亢進を認めた。UUO5日後ではWTとTgにおいてコラーゲン合成において有意な変化を認めなかったが、14日後では1型コラーゲン合成の亢進がTgマウスにおいて有意に抑制(p<0.05)にされていた。またTGF-β1発現をWestern blotおよび免疫染色法で検討したところ、野生型・Tgマウス共にUUO施行でその発現が亢進していたが、その発現上昇はTgマウスでは野生型マウスに比して抑制されていることが明らかとなった。またin vitroの検討では、培養線維芽細胞に対するTGF-β1の増殖促進活性がバイグリカンの前処置により濃度依存的に抑制されることが示された。以上より、バイグリカンが腎間質の線維化抑制作用を有することが示唆され、その機序としてTGF-βの発現抑制と活性阻害が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)