2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎障害における自家単核球細胞移植による腎微小血管再生
Project/Area Number |
14571042
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 泰清 関西医科大学, 医学部, 講師 (40268371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
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Keywords | 腎炎 / 慢性障害 / 細胞移植 / 骨髄 / 単核球 / 再生 / 糸球体 / 尿細管 |
Research Abstract |
腎障害ラットの間質組織における移植骨髄単核球細胞の生着と分化 平成14年度の研究によって(1)ハブ毒単回+アンジオテンシンII持続投与による慢性腎疾患モデルラットの作成(2)骨髄単核球細胞の移植を行った。平成15年度は、(2)の移植細胞の生着と分化を検討した。ここまでの方法では、PKH2-G1で移植細胞表面をラベルしていたため、FITC波長蛍光下での観察を行っていた。当初はそれにより、腎組織内に生着した細胞数を追跡し、尿細管周囲に陽性細胞を見受ける傾向にあった。しかしながら、腎尿細管・間質はレーザー顕微鏡での観察における自家発光が強いために、実験を繰り返す過程で特異的陽性細胞の判定に困難を呈することが多くなり、実験の結果の安定性に非常な疑問を生じた。そこで、LacZ遺伝子を導入した細胞を移植し、β-galactosidase(gal)染色による追跡を行う以下の実験系に計画を修正した。 ヒト末梢血由来単核球細胞の腎障害ラットへの移植 ここでは、(1)遺伝子導入を行うために培養細胞を用いる必要があること、(2)比較的多量の細胞を必要とすることから、浅原・村澤らのヒト末梢血由来単核球細胞の分離・培養法を用いた(Circulation 106:1133,2003)。実験の協力に承諾を得た健常ボランティアの末梢血(200ml)より比重遠心法(Histopaque 1.077【○!R】)にて単核球分画を回収し、2%FBS含有培地にて培養した。7日目にmicrobubble(Optison【○!R】)と超音波照射によるpCGAAS-LacZ遺伝子導入を行った。この細胞群を免疫不全ヌードラット(F344/N mu/rnu、100〜200g),に経腎静脈的に投与した。腎尿細管障害を惹起しておくために、移植4時間前に移植予定側の腎動脈を40分間クランプし、開放、すなわち虚血再還流障害を施した。7日目に腎組織を採取し、移植細胞の生着をβ-gal染色で追跡した。結果、尿細管上皮細胞の領域に、β-gal陽性細胞を散在性ではあるが明確に確認でき、蛍光抗体法でも同様の腎組織内分布がみられた。間質、血管、糸球体には陽性細胞を見出せなかった。よって、虚血回復時の腎においては、ヒト末梢血単核球由来細胞の少なくとも一部が血管ではなく、尿細管上皮に分化する可能性を新たに示唆する結果となった。
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