2002 Fiscal Year Annual Research Report
代謝因子(低カリウム血症、高尿酸血症等)による腎障害機構と血管保護によるその抑制
Project/Area Number |
14571044
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
菅 真一 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (70273456)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 一郎 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (80312221)
|
Keywords | 低カリウム血症 / 高尿酸血症 / 尿細管間質障害 / アンジオテンシII / エンドセリン / 血管内皮 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
1.低カリウム血症による腎尿細管間質障害 (1)尿細管間質障害を伴うカリウム欠乏性腎症ラットにおいて、腎皮質と髄質でのエンドセリン(ET)-1産生亢進と腎髄質でのエンドセリンA受容体(ETA)及びエンドセリンB受容体(ETB)の発現亢進を明らかにした。腎のアドレノメジュリン含量に明らかな変化は認められなかったが、vascular endothelial growth factor(VEGF)発現は髄質で低下した。 (2)アンジオテンシンII受容体拮抗薬(losartan)投与により尿細管間質障害(尿細管傷害、間質線維化、炎症細胞浸潤)の改善とクレアチニンクリアランス(Ccr)の上昇が認められることを証明し、腎局所で生成されるアンジオテンシンIIが尿細管間質障害形成に関与することを明らかにした。losartanにより腎でのET-1産生亢進は一部抑制されたが、髄質でのVEGF発現低下や尿細管周囲毛細血管の密度減少に明らかな改善は認められなかった。 (3)特異的ETA阻害薬(ABT-627)投与により尿細管傷害、間質線維化、炎症細胞浸潤、尿細管上皮過形成は改善しCcrの上昇と尿蛋白の減少も認められたが、腎でのET-1産生は抑制されなかった。一方、特異的ETB阻害薬(A-192621)投与により腎におけるET-1産生とETA発現が抑制され、ETA阻害薬投与時とほぼ同等の腎障害改善が認められた。ET-1はETAを介して腎障害を促進する一方、ETBを介したNa利尿や内皮からのNO放出刺激により腎保護に作用すると考えられてきたが、カリウム欠乏性腎症ではET-1はETAを介するのみならずETBを介した腎局所でのET-1産生刺激により腎障害形成に関与することを証明し、ETB阻害がin vivoで腎保護作用を有する病態が存在する可能性を示した。 2.高尿酸血症による腎尿細管間質障害 uricase阻害薬であるoxonic acid投与により作成した腎臓への尿酸結晶沈着を伴わない軽度の高尿酸血症モデルでは、腎におけるET-1産生亢進は明らかでなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 菅 真一: "Endothelin A receptor blockade and endothelin B receptor blockade improve hypokalemic nephropathy by different mechanisms"Journal of the American Society of Nephrology. (印刷中). (2003)
-
[Publications] 菅 真一: "Angiotensin II type 1 receptor blockade ameliorates tubulointerstitial injury induced by chronic potassium-deficiency"Kidney International. 61・3. 951-958 (2002)
-
[Publications] 堀尾 武史: "Gene expression, secretion, and autocrine action of C-type natriuretic peptide in cultured adult rat cardiac fibroblasts"Endocrinology. (印刷中). (2003)
-
[Publications] 徳留 健: "Adrenomedullin inhibits doxorubicin-induced cultured rat cardiac myocyte apoptosis via a cAMP-dependent mechanism"Endocrinology. 143・9. 3515-3521 (2002)