2003 Fiscal Year Annual Research Report
新生児の止血機構と血栓症発症の病態解明並びに治療法の開発
Project/Area Number |
14571055
|
Research Institution | NARA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60142379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 千晴 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60316073)
|
Keywords | 新生児 / 止血機構 / 血栓症 / 播種性血管内凝固(DIC) / FVIIa / 線溶 / TAFI / フォン・ヴィレブランド因子切断酵素 |
Research Abstract |
1.当院で経験した新生児の播種性血管内凝固(DIC)の臨床的解析を行なった。凝血学的検査成績から大きく2群に分けられることが明らかとなった。ひとつは新生児仮死になど低酸素血症に起因し発症する群、他の一つは敗血症に起因し発症するものである。前者は低フィブリノゲン血症が見られるが、後者は高フィブリノゲン血症でFDPや-Ddimerが高値を示す。病態を制御する機構の違いを示していると考えられる。また、新生児DIC治療薬としてFOYに加えて、Futhanの効果を報告した。更に後者でのFVIIaの関与を示した。 2.FVIIaは、生理的には止血機序の鍵をにぎる重要な凝固因子である。その作用機序についてTEGを用いて示した。また、FVIIaの作用に微量のXの存在の必要性を示した。さらにFVIIaがウロキナーゼ存在下で線溶促進作用が存在することを明らかにした。 3.新生児臍帯血中のフォン・ヴィレブランド因子切断酵素(VWF:CP)活性を測定した。成熟児では健康成人の50%程度が存在した。早産児ではさらに低下し25%前後で、VWFマルチマー解析でも成人のVWFマルチマーよりさらに高分子のVWFマルチマーが存在した。1,2,3の論文は現在投稿中である。 4.新生児のTAFI抗原量の測定系が確立した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 塙坂八重(他6名): "新生児の播種性血管内凝固に対するメシル酸ナファモスタット(Futhan)の治療効果-メシル酸ガベキサート(FOY)との比較-"日本小児血液学会雑誌. 18. 23-28 (2004)
-
[Publications] 白幡 聡(他14名): "新生児低プロトロンビン血症に対するケイツーN注の有効性および安全性の検討"日本未熟児新生児学会雑誌. 16(1). 53-62 (2004)
-
[Publications] 梶原淳久(他6名): "先天性Plasminogen activator inhibitor-1欠乏症患者の智歯抜糸術の麻酔経験"麻酔. 53(1). 73-75 (2003)
-
[Publications] 高橋幸博: "今日の小児治療指針 新生児の出血性疾患"医学書院. 125-127 (2003)