2002 Fiscal Year Annual Research Report
新生児遅発性敗血症の成因に関与する黄色ブドウ球菌毒素と好中球機能との関係
Project/Area Number |
14571057
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木下 洋 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10105778)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 尚 関西医科大学, 医学部, 講師 (70257913)
緒方 肇 関西医科大学, 医学部, 講師 (50169174)
|
Keywords | 新生児 / 敗血症 / 黄色ブドウ球菌毒素 / 好中球機能 |
Research Abstract |
新生児TSS様発疹症(neonatal toxic-shock-syndrome-like exanthematous disease : NTED)は、生後1週以内に認め、全身に発熱、発疹、血小板減少、CRP弱陽性を特徴とする黄色ブドウ球菌産生毒素による発疹症である。通常の新生児では発症後に免疫寛容が誘導され自然軽快するが、低出生体重児では活性化されたVβ2陽性T細胞の増殖の違いや、付着能や走化能が著しく低い好中球への影響により、菌の定着から感染症への進展をきたす可能性がある。 今回の研究の環として、黄色ブドウ球菌が定着してNTEDを発症した新生児におけるCD62陽性T細胞の経時的変化を観察し、Th1、Th2の動態を検討した。 1.対象: NTEDの診断基準をみたし、CD3陽性細胞のうち、TCRVβ2陽性でCD45RO陽性細胞の割合が10%以上となった新生児5例。 2.結果: CD3陽性CD45RO陽性TCRVβ2陽性細胞は、発症後2日目に平均16.2±10.7%まで増加した後に徐々に低下した。Th2を反映するCD3陽性CD45RO陽性CD62陽性細胞は、発症日:11.6%、2日目:21.8%、7日目:20.5%、14日目:20.0%であった。一方、Th1を反映するCD3陽性CD45RO陽性CD62Lの変動は、発症日:1.5%、2日目:5.1%、7日目:2.8%、14日目:2.6%であった。このことから、NTED発症後にすみやかにTh2優位となりその状態は2週間ほとんど変化しないが、Th1は発症2日目に増加した後にすみやかに減少する。 今回の結果から、Th2優位の状態が持続することがNTEDが自然軽快する際の通常の免疫学的状態であることが判明したが、好中球の機能的活性化が低い低出生体重児への影響の可能性もあり、さらに検討する予定である。
|