2003 Fiscal Year Annual Research Report
新生児遅発性敗血症の成因に関与する黄色ブドウ球菌毒素と好中球機能との関係
Project/Area Number |
14571057
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木下 洋 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10105778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 尚 関西医科大学, 医学部, 講師 (70257913)
緒方 肇 関西医科大学, 医学部, 講師 (50169174)
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Keywords | 新生児 / 敗血症 / 黄色ブドウ球菌 / 好中球機能 |
Research Abstract |
1.研究目的:新生児TSS様発疹症(neonatal toxic-shock-syndrome-like exanthematous disease:NTED)は、生後1週以内に発症し、発熱、全身の発疹、血小板減少、CRP弱陽性を伴う、黄色ブドウ球菌毒素による疾患である。成熟児では免疫寛容が誘導され自然軽快するが、低出生体重児では重篤な敗血症へと進展する場合がある。本研究では、NTEDを発症した低出生体重児T細胞の動態および、低出生体重児の好中球機能について検討した。 2.結果:低出生体重児(平均1,483g)の好中球付着能は、無刺激およびエンドトキシン刺激でそれぞれ23.4%と33.5%とであり、正常新生児(28.9%と44.0%)に比較してエンドトキシン刺激好中球付着能が低かった。低出生体重児のNTED症例では、CD3陽性CD45RO陽性TCRβ2陽性細胞は発症2日目に平均16.2%まで増加した後に低下する。Th1を反映するCD3陽性CD45RO陽性CD62陰性細胞の変動は、発症2日目(5.1%)をピークとして7日目以降は低下(2.8%)がみられるが、Th2を反映するCD3陽性CD45RO陽性CD62陽性細胞は発症日:11.6%、2日目:21.8%、7〜14日目20%と持続した。一方、ショックを伴う新生児敗血症症例(3例)の好中球付着能は、無刺激19.6%、エンドトキシン刺激17.5%であり、好中球付着能活性化の異常が認められた。 3.結論:低出生体重児に黄色ブドウ球菌が定着した場合、その毒素に対する免疫学的反応は認められるものの、菌の侵入あるいは毒素によるショック状態に陥った固体に対する好中球系生体防御機構は脆弱であると推定される。
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