2003 Fiscal Year Annual Research Report
TRHノックアウトマウスとゲノムプロジェクトを用い単離した新規脳内ペプチドの解析
Project/Area Number |
14571060
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山田 正信 群馬大学, 医学部, 講師 (90261833)
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Keywords | TRH / 神経ペプチド |
Research Abstract |
野生型マウスおよびTRHノックアウトマウス(TRHKO)の小脳よりmRNAを抽出し、subtractive hybridizationならびにcDNA microarray法を用いて、TRHKOで発現が低下している遺伝子群を同定した。その中から、活性ペプチドを分泌する侯補の一つとしてMDP1というクローンを同定した。このMDP1は、75アミノ酸のペプチドで、18アミノ酸からなるシグナルペプチドに続く配列のなかには、アルギニン・アルギニン、リジン・リジンなどのプロホルモン切断部位のコンセンサス配列が認められ、それぞれ35および9アミノ酸のペプチドが切り出されることが予想された。MDP1のmRNAの脳内分布を検討するため、野生型マウスの脳を、大脳皮質、小脳、'中脳、橋・延髄、線条体、海馬、視床下部、下垂体の8領域に分け、Northern解析を行った。摂食と関連が考えられる大脳、中脳、海馬、視床下部において最も強い発現が認められ、一方、下垂体での発現は極めて弱く、MDP1は、脳内で部位特異的に発現していることが判明した。さらに、野生型マウスに72時間の絶食処置した後の各脳内のMDPI mRNAレベルの変化を検討すると、大脳皮質・中脳・海馬などにおいては、MDP1の発現は80%前後まで減少したが、最も強い変化は視床下部に並びに小脳で認められ、小脳においてはほとんど消失していた。さらに興味あることに、肥満症のモデル動物であり、レプチン受容体の異常を持つdb/dbマウスの視床下部においても、その発現が有意に低下していることが判明した。したがって、このMDP1は、摂食行動に関与したペプチドを分泌することが予想される。
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