2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管再構築ならびに粥状動脈硬化における骨髄多機能細胞の役割の解析 ―動脈硬化および血管傷害モデルマウスに対するGFP標識マウス骨髄細胞移植を用いて―
Project/Area Number |
14571093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横出 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (20252447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 秀典 京都大学, 医学研究科, 助手 (60232021)
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Keywords | 粥状動脈硬化 / 血管再構築 / 骨髄幹細胞 / マクロファージ / 血管平滑筋細胞 / サイトカイン / 増殖因子 |
Research Abstract |
虚血性心疾患・脳血管障害に代表される粥状動脈硬化性病変の成立機構を探究するため、申請者は粥状動脈硬化が炎症類似の機序を伴う臓器再構築過程にあると位置付け、特に骨髄幹細胞の役割についてモデル動物を用いた解析を行なってきた。今年度はこの目的で、正脂血症マウスにGFP遺伝子発現トランスジェニック(Tr)マウス骨髄を移植したのち、4週間後に右股動脈にポリエチレンカフを装着し血管再構築モデルを作成した。2週間後に屠殺し血管平滑筋細胞ならびにマクロファージ系細胞に特異的な抗体を用いて組織学的検索を行なったところ、カフ装着部に多数のGFP陽性の骨髄細胞集簇を認めるとともに、平滑筋細胞系細胞、マクロファージ系細胞およびいずれにも属さない未分類の細胞への分化を認めた。この成績は、カフ装着による血管再構築病変において、骨髄由来多機能幹細胞が深く関わることを明瞭に示し得たものと考えられた。さらにその分子機構を詳細に検討するために、カフ装着後に単球・マクロファージの分化・増殖に関わるM-CSF受容体である。c-fmsならびに血管平滑筋細胞の増殖に関わるPDGF受容体βからのシグナル伝達をそれぞれに対するモノクローナル抗体を投与することにより遮断したところ、遮断した細胞とは反対の細胞系である平滑筋細胞、マクロファージ系細胞数の著明な増加を認め、これら二系統の細胞分化に関する情報が、互いに拮抗する様式をとりうることが示唆された。以上の成績より、【1】血管再構築における骨髄幹細胞の関与が明らかになると共に、【2】骨髄幹細胞の動員・分化・増殖様式の分子機構に関する基盤成績をあげたと考えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Xu Yang, Masayuki Yokode et al.: "Hypercholesterolemia Promotes Mobilization of Bone Marrow Cells into Cuff-Mediated Vascular Remodeling Lesions and Natural Atherosclerotic Lesions in Mice"Circulation. 106・19. 83-84 (2002)
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[Publications] Makoto Tanaka, Kozo Matsubayashi, Masayuki Yokode, et al.: "Donepezil and athetosis in an elderly patient with Alzheimer's disease"J. Am Geriatric Soc. 51・6. 889-890 (2003)
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[Publications] Sano H, Ueda Y, Yokode M. et al.: "Blockade of platelet-derived growth factor receptor-beta pathway induces apoptosis of vascular endothelial cells and disrupts glomerular capillary formation in neonatal mice"Am J Pathol. 161・1. 135-143 (2002)
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[Publications] Tanaka M, Fukuyama H, et al.: "Regional cerebral blood flow abnormalities in nondemented patients with memory impairment"J Neuroimaging.. 12・2. 112-118 (2002)