2003 Fiscal Year Annual Research Report
ABO血液型不適合肝移植を目指した新しい局所免疫制御法の開発
Project/Area Number |
14571155
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50197513)
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Keywords | ABO血液型不適合 / 肝移植 / 拒絶反応 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
ドナーとレシピエントのABO血液型が不適合の場合,ドナー血液型抗原(血管内皮,胆管に発現)に対するレシピエントの既存抗体が激しい拒絶反応を惹起し,さらに高率に胆道・血管合併症を誘発するため,ABO血液型不適合肝移植は一般的に禁忌とされている.本研究では,このようなABO血液型不適合肝移植における諸問題を解決するために,その中心となる既存抗体による液性拒絶反応を,薬剤のグラフトへの局所投与(門脈投与)という新しい方法で制御しようとするものである. ドナー抗原既感作ラットに対する肝移植モデルの確立:近交系雄性ラットBNをドナーに,Lewisラットをレシピエントに用いて同所性肝移植を行うと,急性拒絶反応が一時的に惹起されるものの自然治癒し,ほぼ全例が長期生存する.一方,肝移植予定のLewisラットにBNドナーから採取した皮膚片を移植を行い(14および7日前の2回),ドナー抗原に曝露させた後に同様の肝移植を行うと,既存抗体による液性拒絶反応が加わるため30日以内に死亡することが明らかとなった.この方法により,臨床例に類似した液性拒絶反応の小動物モデルが作成可能になった. ドナー抗原既感作ラットに対する肝移植モデルにおける拒絶反応の評価:上記モデルにおいて、グラフト肝の病理組織像を観察すると、移植後7日前後からグリソン領域に炎症性細胞浸潤の増加が認められ、その後同領域の胆管破壊、血管炎が次第に増加し、最終的には肝細胞の広範囲な壊死に発展した。これらは、臨床におけるABO血液型不適合肝移植後1ヶ月以内に発生する肝壊死と類似した所見であり、本モデルが実験的にこの現象を良く再現したものであると考えられた。 門脈内薬剤投与によるimmunomodulation:肝移植時に細径カテーテルをレシピエントの門脈内に留置し,体内埋め込み型浸透圧ポンプを接続する方法を開発し,術後14日間の薬剤持続投与が可能となった.まず、この方法でプロスタグランジンE1を移植後のラット肝に持続門脈内投与してグラフト局所のimmunomodulationを行い,生存率および肝組織障害の程度を観察したところ、若干の生存期間の延長の傾向を示したが、プロスタグランジンE1単剤での長期生存は認めなかった。そこでさらに、液性拒絶反応の過程でおこる「single organ DIC」の上記カスケードを多角的にブロックするために,プロスタグランジンE1(血管拡張,抗血小板作用)だけでなく、肝代謝型ステロイド剤・budesonide(抗炎症作用,免疫抑制),gabexate mesilate(抗血小板作用,抗炎症性サイトカイン作用)などを同時投与した効果を観察した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Morisue A, Wakabayashi G, Shimazu M. Tanabe M. et al.: "The role of Nitric Oxide after a short period of liver ischemia-reperfusion."Journal of Surgical Research. 109. 101-109 (2003)
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[Publications] 河地茂行, 島津元秀, 若林 剛, 星野 健, 田辺 稔, 他: "生体肝移植後のグラフトサイズがネオーラル投与後のシクロスポリン血中濃度に及ぼす影響に関する臨床研究."今日の移植. 16. 612-616 (2003)
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[Publications] Tanabe M. et al.: "Annals of European Academy of Sciences"Living-donor liver transportation : Current efforts to expand the donor pool.. 22-31 (2003)