2002 Fiscal Year Annual Research Report
IAPファミリーにホモロジーを有する新規遺伝子の癌化に及ぼす機構の解析
Project/Area Number |
14571180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 愼 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00292946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名川 弘一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80228064)
渡辺 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80210920)
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Keywords | 大腸癌 / アポトーシス / adenoma-carcinoma sequence / 胃癌 |
Research Abstract |
研究計画に記載し、われわれが研究を行っている新規遺伝子の名称を、既に存在する他の遺伝子との混乱を避けるためにhIRFからhRFIと変更した。まず、食道以外の臓器の癌におけるhRFI遺伝子の発現を調べた。当科で手術を受けた胃癌30例、大腸癌42例のホルマリン固定パラフィン切片を対象とし、抗hRFI抗体にて免疫染色を施行した。胃、大腸癌の癌組織で無染色症例はなかった。癌組織の染色パターンは胃癌30例中、瀰漫性18例(60.0%)、限局性12例(40.0%)であり、大腸癌48例中、瀰漫性39例(81.3%)、限局性9例(18.7%)であった。染色パターンと臨床病理学的因子に有意な関連はみられなかった。ついで、大腸癌発生特にadenoma-carcinoma sequenceにおけるhRFI遺伝子の発現を調べるために、内視鏡的ポリープ切除を受けた。大腸腺腫70例、過形成性ポリープ7例を対象とし、同様に免疫染色を施行した。その結果、過形成性ポリープ7例中3例で無染色であったが、大腸腺腫・癌では118例中8例が無染色であった(P=0.01)。また大腸癌の染色結果に対して大腸腺腫70例中、瀰漫性染色4例、非瀰漫性染色66例であった(Pく0.001)。以上より胃、大腸癌においても癌組織で発現が高く、大腸腫瘍発生においては早期の腺腫段階で限局性ながら発現が見られ、異型がすすむにつれ発現が瀰漫性になることが明らかになった。hRFI遺伝子は大腸腫瘍発生のinitiationからProgressionまで幅広く関与するものと考えられた。現在、hRFI遺伝子の機能解析をすすめる目的で10種類の大腸癌細胞株を対象にhRFI遺伝子の発現を検索する一方、細胞株にhRFI遺伝子をトランスフェクションし当該遺伝子をstableに発現するクローンをselectionしている段階である。
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