2003 Fiscal Year Annual Research Report
胆道閉塞によって障害された臓器・免疫機能の回復に対する胆道ドレナージの効果
Project/Area Number |
14571192
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新井 利幸 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (80335041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 高司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30311715)
梛野 正人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20237564)
二村 雄次 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80126888)
西尾 秀樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30345897)
|
Keywords | 閉塞性黄疸 / IL-10 / IL-12 / Kupffer細胞 / apoptosis / 胆道ドレナージ / Toll-like receptor / パイエル板 |
Research Abstract |
A.胆管閉塞は肝細胞MRP2の発現を低下させ、減黄術はそれを回復させる 肝細胞内のビリルビン排泄に必要不可欠な肝細胞毛細胆管膜MRP2蛋白の発現を、胆道癌肝切除例の開腹時生検材料を用いて評価した。肝門部胆管癌で左右いずれかの肝葉のみに胆汁鬱滞のあった症例(n=7)の肝組織から細胞膜分画を分離、Western blotを行なった。胆汁鬱滞葉のMRP2発現は非鬱滞葉の46±26%であった。胆道癌で左右の肝内胆管に拡張があり、片側葉にのみ胆道ドレナージを行った症例(n=9)では、ドレナージ葉のMRP2発現量は非ドレナージ葉の158%(90〜360%)であった。胆道癌広範囲肝切除例(n=39)のMRP2発現の検討により、減黄後にもMRP2の発現が不良な症例に肝不全が発症しやすいことがわかった。 B.マウス閉塞性黄疸モデルにおける感染免疫の異常 (1)閉塞性黄疸マウスの細菌排除能の低下には、Kupffer細胞の過剰なIL-10の産生とIL-12、IFN-γの産生低下が関与していた。また、Fas欠損マウス(lpr)では、胆管結紮後の肝細胞のapoptosisが軽度で、細菌の排除能も障害されないことから、閉塞性黄疸時のKupffer細胞の機能低下には、Fasを介する肝細胞のapoptosisが関与している可能性が示唆された。さらに、閉塞性黄疸時のグラム陰性菌の腸管からのbacterial translocationは、Toll-like receptor2を介して肝NKT細胞を活性化、Fas-ligandを発現させ、肝細胞のapoptosisを誘導することが明らかとなった。 (2)閉塞性黄疸時の腸管からのbacterial translocationには、パイエル板の萎縮が関与しており、腸管内の細菌叢の変化によるToll-like receptorを介するパイエル板B細胞の活性化、apoptosisがそのメカニズムの1つであることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hiromatsu T: "Overexpression of interleukin-15 protects against Escherichia coli-induced shock accompanied by inhibition of tumor necrosis factor-alpha-induced : apoptosis"J Infect Dis. 187(9). 1442-1451 (2003)
-
[Publications] Hiromatsu T: "NK T cells stimulated with a ligand for TLR2 at least Partly contribute to liver injury caused by Escherichia coli infection in mice"Eur J Immunol. 33(9). 2511-2519 (2003)
-
[Publications] Shoda J: "Genipin enhances Mrp2(Abcc2)-mediated bile formation and organic anion transport in rat liver"Hepatology. 39(1). 167-178 (2004)