2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生および肝発生における肝類洞内皮細胞新生の分子制御機構に関する実験的研究
Project/Area Number |
14571197
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
小野 隆司 島根医科大学, 医学部, 助手 (50304267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八田 稔久 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20238025)
D K Dhar 島根医科大学, 医学部, 助手 (10284035)
山野井 彰 島根医科大学, 医学部, 助手 (70281152)
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Keywords | 肝再生 / 血管新生 / 血管新生因子 / HIF-1α |
Research Abstract |
平成11-12年科研費以来、当研究室ではラット肝切除後肝再生時の類洞内皮細胞新生を形態的変化、血管新生因子の発現を中心に検討してきた。現在、血管新生因子発現の重要な転写因子であるhypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)の肝再生中の変動とその意義を中心に検討している。8-10週齢、雄のSDラットに70%肝切除を行い、再生肝における肝細胞、類洞内皮細胞の増殖をbromodeoxyuridine (BrdU)の取り込みで評価した。またRECA-1抗体を用いて内皮細胞を免疫染色し、類洞内皮細胞の肝組織中に占める割合を血管密度(MVD)の画像解析で評価した。さらに肝切除前、切除後6、12、24、36、48、72、120、168時間の肝実質内の核内蛋白をwestern blot法を用いてHIF-1α、VEGFの定量を行い、免疫染色で確認した。また、RT-PCR法にて血管内皮細胞増殖因子であるVEGFとflk-1のmRNAの発現を測定した。肝細胞及び内皮細胞によるBrdUの取り込みは、各々肝切除後24時間、72時間で最高値を示した。MVDは肝切除後72時間まで減少し、96時間では上昇した。HIF-1αの発現は肝切除後6、12、24、36時間で非切除群に比べて高値を示し、肝切除24時間後でHIF-1αの発現が最も高かった(P=0.002)。免疫染色でも切除後24時間で肝実質にHIF-1αが高発現していた。VEGFのmRNAの発現は、肝切後48時間から増加し、72時間で最高値を達した。flk-1は肝切後48時間から96時間まで増加を認めた。VEGFの蛋白発現は肝切後120時間で有意に上昇した。肝切除後の肝細胞増殖早期に肝細胞は群塊を形成し、この時期に類洞内皮細胞を含めた肝組織全体に一過性の虚血状態が生じ、HIF-1αの転写活性により血管新生因子とその受容体の発現を誘導したと考えた。肝再生中の類洞内皮細胞の血管新生はHIF-1αの発現が重要な役割を演じる可能性が示唆された。
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