2003 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌に対するMUC1ペプチドワクチンと抗癌剤併用療法の開発
Project/Area Number |
14571200
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 光太郎 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (50304481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 茂文 山口大学, 医学部, 講師 (60294633)
日野田 裕治 山口大学, 医学部, 教授 (10165128)
岡 正朗 山口大学, 医学部, 教授 (70144946)
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Keywords | 膵癌 / 免疫療法 / 化学療法 |
Research Abstract |
本研究においては、膵癌に対する臨床効果のある治療法として免疫療法と化学療法の併用という新たな治療法の開発を目指している。化学療法の薬剤はゲムシタビン(GEM)を用いた。免疫療法には平成14年度の検討で、癌ワクチン療法としてはMUC1ペプチドワクチン療法より癌抗原ペプチドワクチン療法の方がより高い臨床効果が望めると判断し、「膵癌に対する癌抗原ペプチドワクチン療法とGEMによる化学療法の併用療法の開発」で臨床試験を準備した。癌抗原ペプチドワクチン療法は、投与前にCTL誘導能をスクリーニングし、HLA-A24症例では18種類の、HLA-A2症例では16種類の癌抗原ペプチドから適合ワクチンを選択・投与するというテーラーメイド型の治療である。平成15年度の施行症例は1例で、64歳男性、HLA-A2陽性であった。癌抗原ペプチドのスクリーニングにて適合ワクチンはppMAPkkk 294-302、ppMAPkkk 432-440の2種類であった。膵頭十二指腸切除術後に局所再発を来たし、消化管出血を認めていた。癌抗原ペプチドワクチン療法を2週間に一回施行し、GEMを3週投与1週休薬のスケジュールで投与した。治療効果として治療前に424.8U/ml(正常:37<)と高値であった腫瘍マーカーCA19-9は、6回の癌抗原ペプチドワクチン治療とGEM9回投与により、150.3まで低下し、消化管出血も認めなくなった。二度目のスクリーニングで適合ワクチンはppMAPkkk 294-302、ppMAPkkk 432-440、Lck 246-254、UBE2V 43-51の4種類であった。一ヶ月の休薬期間でCA19-9は386.3まで再上昇したが、癌抗原ペプチドワクチン療法7回、GEM10回投与した。治療再開後一時CA19-9は低下したが、464.7と再上昇した。その後は順調に低下し171.7まで低下し、消化管出血の再燃も認めていない。免疫反応としてもppMAPkkk 294-302、ppMAPkkk 432-440に対する特異的CTL誘導と特異的抗体誘導を確認している。QOLも良好で治療開始後32週経過した。本症例の興味深い点は腫瘍マーカーの2峰性の推移である。免疫反応から推察するに、最初の低下は化学療法による抗腫瘍効果で、2回目の低下は免疫療法の抗腫瘍効果と考察している。難治性癌の代表である膵癌に対する臨床効果のある治療法として期待でき、今後の検討を要する。
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