2003 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス実行因子Caspase3を用いたp53不活化腫瘍の選択的遺伝子治療
Project/Area Number |
14571217
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
篠田 憲幸 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80305549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 義敬 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40156831)
桑原 義之 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90225326)
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Keywords | Caspase3 / apotosis / XIAP / 抗癌剤治療 / VP16 |
Research Abstract |
本研究は、p53が変異、失活した腫瘍細胞でのみCaspase3が活性化されるシステムを考案し、腫瘍選択性の抗腫瘍効果の向上を目的としている。 平成14年度までに、Caspase3の発現ベクターをクローニングし、その発現を確認している。またp53に変異のある腫瘍細胞株では、このベクターによるCaspase3が発現しないことを認めた。さらに、p53のbiding siteの下流にXIAP遭伝子を組み込み、正常細胞株でXIAPの発現が上昇し、変異型のp53をもつ大腸癌細胞株SW480では発現が上昇しないことを認識した。 平成15年度は、まずこれらのベクターを使用し、正常細胞株および野生型p53をもつ癌細胞株にVP16存在下において、XIAPベクターとCaspase3発現ベクターを同時に導入した場合アポトーシスを回避できるかどうかを確認した。アポトーシスの判定は、FACS解析を用い、subG1 populationの増加で判定した。結果は、リポフェクション法で、ヒト皮膚正常細胞株NHDFにXIAPベクターとCaspase3ベクターを導入したところ、NHDFにはアポトーシスは誘導されなかった。しかし、VP16存在下に変異型p53をもつ大腸癌細胞株SW480に両ベクターを導入したところ、4日後においてもアポトーシスは誘導されなかった。また、他の細胞株、DLD1、HCT 116などに導入を試みたが、アポトーシスは誘導されなかった。これらの結果、個々のベクターはうまく発現していると思われるが、この二つの遺伝子のみでは腫瘍選択制にアポトーシスを誘導できなかった。原因は、明確には解明できていないが、XIAP以外の別のfactorの介入が最も有力な候補として挙げられるという所まで追求できたと考える。
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