2003 Fiscal Year Annual Research Report
幽門側胃切除後逆流性食道炎の実験モデルの確立とその病態生理学的検討
Project/Area Number |
14571233
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小村 伸朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70271301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 一人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20338924)
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Keywords | 逆流性食道炎 / 幽門側胃切除術 / 十二指腸液 / ラット / 胆汁 / 膵液 |
Research Abstract |
幽門側胃切除後の逆流性食道炎の発生には十二指腸液ならびに残胃からの酸の関与が考えられる。ラットに幽門洞切除ならびに残胃十二指腸吻合術を施行することによって食道炎を実験的に惹起することは可能であったが,発生頻度が低く再現性に問題がある(平成14年度)。改めてモデルの確立実験を施行した。 【対象と方法】8週齢Wistar系雄性ラットを用い以下の実験群を作成した。Group1:Sham operation群。Group2:幽門領域を切除後,残胃十二指腸吻合(Billroth I法)を施行した群。Group3:Group2と同様の操作を施したのちに,ファーター乳頭肛側の十二指腸に18Frサイズの幅約2mmのネラトンカテーテル片を被覆固定した群。Group4:Group2と同様の操作を施したのちに,前胃・腺胃境界部を2-0絹糸にて結紮した群。Group5:Group3と同様の操作を施したのちに,前胃・腺胃境界部を2-0絹糸にて結紮した群。実験開始2週間後に動物を犠牲とし,肉眼的な食道病変の有無ならびにヘマトキシリンエオジン染色による食道病変の組織像を観察した。また残胃のpHを測定した。 【結果】(1)生存率:Group1;100%,Group2;50%,Group3;50%,Group4;40%,Group5;40%。(2)食道炎の肉眼的な発生率:Group1;0%,Group2;40%,Group3;60%,Group4;75%,Group5;100%。食道炎が作成できたものでも個体差があった。(3)病理組織像:食道上皮の肥厚,上皮内への乳頭陥入,炎症細胞浸潤などの食道炎像が認められた。 【結語】幽門側胃切除後の逆流性食道炎を作成するためには,残胃容量の減少を目的とした前胃腺胃境界部の結紮処置が重要である。生存率の改善にはさらなる工夫が必要である。
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