2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵胆道癌の血管新生を標的にしたHGFアンタゴニスト(HGF/NK4)遺伝子治療
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14571248
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
志村 英生 福岡大学, 医学部, 助教授 (80178996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩 福岡大学, 医学部, 助手 (60309911)
松尾 勝一 福岡大学, 医学部, 助手 (60341442)
池田 晴洋 福岡大学, 医学部, 教授 (40038758)
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Keywords | 膵胆道癌 / HGFアンタゴニスト / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
膵胆道癌細胞の播種転移に対するHGFアンタゴニスト(NK4)遺伝子治療を目指して以下の実験を行った. 1.細胞株の性質解析:NK4の作用機序はHGFの作用を競合阻害することにあるが、HGF受容体c-metの発現とNK4ウイルス治療に対する感受性の違いを検討した.c-metの発現が高いGB-d1細胞は、これまでの研究と同様に腹膜播種転移をmoi100程度のウイルス量で阻止する事が確認されたが、c-met発現の少ないFu-GBC-1、Fu-GBC-2など、腹水癌から樹立した胆嚢癌細胞ではほとんど阻止できなかった.2.腹壁の創でのHGF発現亢進:胆嚢癌GB-d1の腹壁播種転移は腹壁の損傷部位におこる.播種転移成立が局所のHGF発現と関連があるかを検討した.腹壁を損傷させたmouseから経時的に組織を切り出してHGF発現を免疫組織学的な方法で検索したが、発現量が少ないためか局在を明らかにできなかった.そこで、リアルタイムRT-PCR法を用いて、組織中のmouse HGF遺伝子発現を定量化した.その結果、腹壁傷害によりHGFの局所発現量が増加し3-5日後に7倍に上昇し、創の治癒と伴に正常値まで減少した.創傷により局所のHGF産生が亢進し、HGFに反応する癌細胞の定着や増殖を誘導していることが示唆された.3.細胞の創部接触の阻止による転移阻止:創の損傷部選択的な転移を抑える目的で、細胞の接触を阻止するヒアルロン酸ゲル膜にて創を被覆した.膜は創傷が治癒する7日頃までは創部を保護し癌の接触を阻止することにより腹膜播種転移を効果的に抑えた.4.センダイウイルスを用いた遺伝子治療の検討:アデノウイルスは副作用が強いので、センダイウイルスへ遺伝子を組み込んだ.しかしアデノウイルスに比べNK4発現効率が悪く、HGFを充分アンタゴナイズできなかった.NK4はHGFと競合的阻害をするため高濃度(10-100倍)の発現が必要となる.充分量の発現を得るにはやはりアデノウイルスが最も良いと思われた.人への毒性のないアデノウイルスの開発が必要と思われた.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sasaki T, Shimura, H, Tanaka, T, et al.: "Port site recurrence following laparoscopic surgery"Med. Bull. Fukuoka Univ.. 29. 704-712 (2002)