2002 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β1を介した大腸癌の浸潤・転移機構の解明とその応用
Project/Area Number |
14571251
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
小松 慶子 大阪府立成人病センター研究所, 生物物理学部門, 主任研究員 (30342992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今岡 真義 大阪府立成人病センター(研究所), 特別研究員
村田 幸平 大阪府立成人病センター(研究所), 特別研究員
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Keywords | S100A6 / TGF-β1 / ヒト大腸癌 |
Research Abstract |
原発巣から血中に出た癌細胞はしばしば血小板と凝集する。ラット腹水肝癌細胞AH130の低浸潤性株W1を活性化血小板とインキュベートすると、癌細胞の浸潤能は著明に亢進した。抗TGF-β1抗体を添加すると浸潤能の亢進は阻害された。TGF-β1で誘導される遺伝子群をSubtraction Hybridization法で約10種類(未知#16、Calmodulin、Calcyclin/S100A6、Thymosinβ-4、Elongation factor EF-1αなど)を同定した。このうち、S100A6は分子量10.5KDaのCa^<2+>結合蛋白である。ヒト大腸癌のS100A6の発現は正常大腸粘膜よりも大腸癌原発巣(T)で有意に高く、肝転移巣で(M)ではTと同程度であった。Tにおける発現はDukes'tumor stageとリンパ管侵襲と有意に相関した(Komatsu et al.Clin.Cancer Res.2000)。興味深いことには、TとMにおけるS100A6の発現は腺構造が比較的保たれている癌の中心部に比べて、腺構造が崩れた浸潤先進部において高かった(Komatsu et al.Brit. J.Cancer 2000、Oncology 2002)。転移能の異なるペアーの細胞株では、乳癌(FM3A)とメラノーマ(B16)において高転移株の方がS100A6の発現も高かった。S100A6cDNAをレトロウイルスベクター(pMXEGFP)にサブクローニングし、W1細胞とヒト大腸癌細胞株DLD-1にトランスフェクションしたが、内因性タンパクの発現が高く、その生物学的活性をみることができなかった。種々の細胞株のうちマウスメラノーマ細胞株(B16F1)はS100A6タンパクの発現が弱いことを見い出したのでこの細胞を用いてS100A6の機能について現在検討している。S100A6や#16遺伝子はTGF-βシグナルの中でおそらく下流に位置しており、その機能を解明することは非常に重要であると思われた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Komatsu, K.Murata, et al.: "Expression of S100A6 and S100A4 in Matched Samples of Human Colorectal Mucosa, Primary Colorectal Adenocarcinomas and Liver Metastases"Oncology. 63. 192-200 (2002)