2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入静脈グラフトによる冠動脈バイパスの遠隔期評価
Project/Area Number |
14571263
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 講師 (40281092)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 正始 京都大学, 医学研究科, 教授 (20303810)
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40252457)
|
Keywords | 冠動脈バイパス / 動脈硬化 / 静脈グラフト / 遺伝子導入 / アデノウイルス / ナトリウム利尿ペプチド |
Research Abstract |
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は血管平滑筋上の特異的受容体(ANP-B受容体)を通して血管平滑筋弛緩、増殖抑制に働く。われわれはCNP遺伝子を非増殖性アデノウイルスに組み込んだベクターを作成し、このベクターが培養血管平滑筋細胞に対して非常に高い遺伝子導入効率を示し、強力な増殖抑制作用を持つことを明らかにした。これを踏まえて本研究ではまずウサギ頸動脈のバルーン障害モデルを用いて、血管内皮障害時にCNP遺伝子導入を行うことにより、血管内皮障害後の新生内膜肥厚が著明に抑制されることを明らかにして報告した。さらに新生内膜における血管平滑筋細胞の表現型、血管内皮細胞の再生を検討した結果、CNPの過剰発現により、増殖刺激された血管平滑筋細胞の再分化が認められ、血管内皮細胞の再生が促進されることを明らかにして報告した。さらにウサギ頚静脈の動脈化グラフトモデルにおいて、移植前の自家静脈グラフトに対してex vivoにCNP遺伝子導入を行い、移植後のグラフト内膜肥厚、血栓形成、内皮再生について検討した。CNP遺伝子導入を行った静脈グラフトでは血管壁におけるCNPおよび二次伝達物質であるcGMPの濃度は対照群に比べ有意に高値であった。その結果、CNP遺伝子導入群では対照群に比べ、静脈グラフトの内膜肥厚が有意に抑制されると共に、血栓形成の抑制、内皮再生の促進効果が認められた。これらの結果を踏まえて、実際の冠動脈バイパス血管に対するCNP遺伝子導入の効果を検討するため、ビーグル犬において内胸動脈および下肢静脈を用いた冠動脈バイパスモデルの作成を行っている。
|
Research Products
(1 results)